「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」【感想】改めて最初から読み返したくなる

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引用元:集英社新書(https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0972-d/)
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集英社新書から出た「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」、先日読了しました。

ゴールデンカムイのアイヌ語やアイヌ文化などを監修されている中川裕先生による解説本です。

なるほど、漫画を読んでいるだけではわからない時代背景なんかもじっくり解説されていて、これを読んだうえで金カムを読めばまた理解が深まるな~と感じました。

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単行本派はネタバレに気を付けて!

ちょっと最初に注意しておきたいのが、本誌183話までの重大なネタバレが含まれているということです。

ネタバレがあるのは第7章から。序章、第1章~第8章、終章という構成なので、ネタバレがあるのはラストのちょっとだけですが、漫画を読むまで知りたくない方はこの点気を付けておいたほうがいいかもしれません。

まだ単行本未収録のネタバレが2つくらいあります。

ゴールデンカムイはどこまでリアルに忠実なの?

あまりアイヌ文化に詳しくなく、漫画を読みながら学んでいる読者にとっては気になるテーマではないでしょうか。

「漫画では○○ってあったけど、本当にそんなことできるの?」と疑問に思うところは私もあり、そういうところを丁寧に解説されていて、スッキリ。

たとえば「オソマオソマ」って言ってるけど、アイヌの人たちは最初に味噌を見たときどう思ったの?アシリパさんと同じ反応をしたの?とか。そういうおもしろネタ部分も触れられていました。

アイヌが金の採掘に関わっていたのか?

これは物語の大きなテーマにも関わる部分です。ゴールデンカムイはアイヌが秘蔵していた金塊(現在の金額にして8000億円)をめぐる物語。

明治期、一攫千金を夢見て北海道に渡った和人が金を採掘する、というのはまああった話ですが、原住民族であるアイヌは金を採掘していたのか?これが全く関わっていなかったのだとしたら、ゴールデンカムイの金塊は「現実ではありえないけどね」という完全なるフィクションだということ。

しかし、読み進めてみるとどうやらアイヌは江戸時代ごろにはすでに金塊採掘を行っていたらしいのです。

よって、ゴールデンカムイの背景にあるアイヌの金塊は現実にも十分ありえる設定だということですね。

こういう物語の根幹にかかわる部分のリアリティについて掘り下げてくれるので、引き込まれます。

リアリティを追求しすぎれば面白くなくなる

いろんな時代モノの創作はそうだと思うんですが、あまりにその時代に寄り添ってリアリティを追求しすぎると、物語は途端に面白くなくなるということがあります。

ゴールデンカムイは大事なところはきちんとリアルに沿って描き、物語をおもしろく魅力的に見せなければならないところはちょっと誇張しつつもフィクションを織り交ぜて描く。そのバランスがいいんだなーと改めて気づかされます。

まあ、江戸時代にたくさん作られた戦国時代の軍記物なんかも結構創作部分が多いですよね。戦国武将の逸話とかもそう。ちょっと大げさなくらいのエピソードがあると読者の印象に残りやすい。

あとから史実は違うよ、と知って残念に思うことも多々あるんですけどね。

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ゴールデンカムイの舞台となった明治期のアイヌの状況を知る

ゴールデンカムイは、北海道の「アイヌ民族」の歴史と文化、当時生きた人々の考え方や価値観を描いています。

当時明治政府によってどんどん開拓民が送られ(先住民族であるアイヌの土地であるにも関わらず)、日本人(和人)によってアイヌはどんどん追いやられていったという背景があります。

これ、今書いていても思うのですが、気軽に理解もせずホイホイ語っていい問題ではないです。

アイヌ新法案 歴史と文化への理解深めたい
【読売新聞】 アイヌの人々がたどった歴史と、豊かな文化への理解を深め、将来に引き継ぐことが大切だ。  政府は、アイヌ民族に関する新たな法案の今国会での成立を目指している。「先住民族」と初めて明記し、文化の継承を国と自治体の責務と位置

最近やっとアイヌを先住民族と認めるというアイヌ新法案が閣議決定されましたが、最近まで認められていなかったということが驚き。

そもそもアイヌ文化がいつから生まれ、どのように発展し、和人と付き合ってきたのか。そういう歴史的背景を1章分丸々使って解説されています。

「シャクシャインの戦いってそういえば歴史の授業で習ったな」とか、「そういえばもののけ姫のアシタカって蝦夷だったよな」とか、「そもそも平安時代に東北へ行った坂上田村麻呂って蝦夷のアテルイと戦ったんだ」とか。

なんとなくあった出来事は知ってるけど、詳細は知らなかったこと。知ろうともしなかったこと。改めて考えてみると侵略の歴史で、中古中世から続いてきたアイヌと和人の関係を知ると(もちろん戦争ばかりではなく交易もしていた)、1900年代初頭のアシリパさんたちの存在を、軽々しく見てはならないな、と感じました。

ゴールデンカムイをもっと楽しむ以上に、ゴールデンカムイでアイヌに興味を持ったなら、ちゃんと知ろうと思える。そんな本でした。

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