紙媒体だから上・WEBだから下ってなんで?編集者の経験から感じた責任の重さについて

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たまーに目にする「WEBメディアなんて所詮……」「紙のほうが上」という、紙媒体出身者によるマウント。出版・印刷業界が縮小していく中でいまだにちらほら出てきますよね。

今や漫画だってWEB出身の作家さんがたくさん出ていて、既存の漫画雑誌ですらアプリをリリースして最新話を作品ごとに電子で切り売りするのが当たり前のようになった時代です。WEBだからってバカにするような考え方は時代遅れだと思うのですが、それでもWEBライターが下に見られる機会って多いように思います。

私自身、営業する中で過去の実績を見せる機会も多いですが、なんだかんだで紙の実績のほうが食いつきがいい……。紙の仕事のほうが単価が高いとかそういうわけでもないんですが、こういう価値観って面倒だなあと思う。

もううWEBメディアのほうが多くの人の目に触れるようになってきていると思うんですが、なぜいまだに紙媒体至上主義が根強いのか。

編集者として紙媒体にも関わっていた経験(主に失敗談)から思うことをまとめてみました。

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紙媒体はWEBよりもお金がかかる

紙が上と言われる一番の要因はここなんじゃないかと思います。

会社勤めの編集者をしていたころ、紙の編集にもWEBの編集にも関わっていましたが、あらゆる面で圧倒的に紙の方が金がかかるのです。

  • 人件費
  • 印刷コスト

特にこのあたりですね。

紙は1ページに関わる人間がめちゃくちゃ多い

場合によりけりだと思うのですが、私が関わっていた仕事では100ページを超えるような媒体は、特に関わる人数が多かったです。営業はとりあえず除くとして、制作に関わる人間だけ挙げるとしたら

  • ディレクター(デザイン・ライティング各1人ずつ)
  • デザイナー
  • DTPオペレーター
  • コピーライター(ライター)
  • 校正者

こんな感じでしょうか。あとは印刷に関わる人も大勢います。

校了までが長い

これもペラ一枚か冊子か、文字ベースの書籍かカタログ・雑誌かによっても異なりますが、校了まで8校~10校くらい重ねることが多いです。

WEBメディアだと、すみません私が経験した中でのことしかわからないのですが、2人体制でのダブルチェックで公開、となることが多かったように思います。

ミスがないよう真剣に取り組む姿勢はどちらでも同じですが、関わる人間の数と費やす時間が違うので、紙媒体には余計お金がかかるというわけですね。

ここで私の失敗談をひとつ。責任の重大さにしばらく落ち込んだ出来事です。

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ミスが1つでもあれば刷り直し(ロスが出る)

はい、一度自分のミスで刷り直しをするという出来事がありました。

お客さんからもらったデータをそのままコピーするのではなく、目で見て手で打ちこんだのですが(データでもらえなかったため)、そこでミスをやらかしました。打ち間違いが一か所あったんです。

当然、校了までにダブルチェックをしているんですが、見落としがあった。それがそのまま刷られ、お客さんのところへ行ったわけです。校了してお客さんにも一度チェックをしてもらっているんですが、そこでも見つけられなかった。

もうね、反省しましたよ。

それまでこんなミスをしたことがなく、「ミスはないだろう」と過信して校正も適当にやっていたんです。いや、校正は絶対に誤字脱字を見つけてやると思いながら取り組んでいたんですが、それでもまだ甘かった。

刷り直しにはお金がかかる

これも当然ですが、たった1か所の誤字があっただけでも刷り直しになり、それにはまた人件費・印刷コストがかかります。ロスが出た分余計なお金がかかる。

刷り直すかどうかは品物にもよりますね。ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』では、書籍の表紙の綴りにミスがあって、シールを貼ることで対応していました。そういうケースもよくあります。

どちらにせよ人件費がかさむことに違いはありません。

私のミスでどれだけお金がかかったのか……確か数万だったかと思うのですが(冊子ではなく、部数も多くなかった)、それでも自分の犯した事の重大さにショックを受けました。

この件を機に、ミスがある前提で校正をするように心がけています。

WEBの誤字はどうか

一方、WEBメディアやコーポレートサイトなどに誤字があった場合はどうか。これも管理体制によっては修正することも難しい場合があるんですが、紙と違って刷り直すようなことはないのでコストはほとんどかかりません。

「あのサイトのどこどこのページに誤字がありましたよ」

「うわ、まじか!直しておきます」

結構こんな感じで修正できます。

こういう、修正のしやすさのせいで緩んでしまうのか……。なんとなくそこに「WEBだから気負わなくていい」みたいな甘えが生れるように思います。

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WEB媒体の甘え

Yahoo!ニュースなんかを読んでいて感じるのですが、同じ大手新聞社発の情報でも、紙の新聞より誤字・変換ミスみたいなのが目立つように思います。

新聞を読んでいて「あ、誤字だ」と見つけることなんてほとんどなかったですが、WEBニュースは結構ある。割と頻繁に見かけませんか?

大手でも紙とWEBで認識が違う?

こういうのを見ていて、大手新聞社でも紙とWEBでは取り組む姿勢が違うのかなー?と思ってしまいます。

新聞社には校正・校閲部門があってチェック体制はしっかりしていると思うのですが、速さ重視のWEBニュースだとチェックが甘いのか、そもそも校正・校閲に回していないのか……。

WEBだからすぐ直せるし、という甘えからか、紙より重視していないのか、何なんでしょうね。

速さ重視なのは新聞も同じだと思うんですが、紙に印刷すると残ってしまう。それをミスすることはできない。そういうことなんでしょうか。

誤字があってはならないのはどちらでも同じなのに、これだけ違いがあるのは「すぐ直せる」「低コスト」という甘えがあるからだと思えてなりません。

かく言う私も……

これだけ偉そうなことを言っておいてアレなんですが、私自身もミスが多いです。

特にこのブログ。漫画のレビュー記事なんて特に、最新話を読んだ興奮と深夜テンションの勢いで書いてUPし、後から酷いミスを見つけて修正修正……ということがよくある。

あれだけ盛大な過ちを犯して「ミスがないよう真剣に」と決意したにも関わらずこの体たらく。ひどい。本当にひどい。

どっちも真剣に取り組みたい

紙媒体至上主義にはいろんな理由があると思います。やっぱりメジャーだし。WEB上のデータではなく、印刷されてモノとして残るものだから、それに自分が関わっているとうれしく感じることも確かです。

ただ、コストとか修正しやすいとか、いつでも消せるとか、そういう甘えからWEBが下だと考えられるのはうーん……?と思う。

不適切動画とかもそうですけど、すぐ消せると思っててもWEBの拡散力は侮れない。とんでもないミスを犯したらそれがあっという間に広がってしまうことだってありますからね。WELQ問題とか、あのキャベツ枕の件もこわい。

コンテンツ制作に関わっている以上他人ごとではないですから。ほんとこわいわ……。

そういう情報の誤りがあってはならないのはもちろん、誤字脱字レベルでも同じ気持ちで取り組まなければならない。それは紙であってもWEBであっても同じです。

紙メインの界隈では未だに認識が甘いけど

世の中がそういう状況になっていってるのに、紙媒体メインで制作している現場では未だにそこんとこの認識が甘いなあと感じます。

今は紙の編集から離れていますが、私が属していた会社はそんな感じでした。WEBの制作ってね、ライターが書いた原稿を校正する人がいないんですよ!まじで。自分が書いたもの賀チェックなしで公開される恐ろしさたるや。

WEB制作のディレクターがいて、継続して担当している会社のコーポレートサイトなんかをリニューアルするって時、今までのサイトをチェックする機会がよくあったんですが、まあ、誤字とか変な文章が多い。これを指摘すると「そっかー、まあいんじゃね?」みたいな返答。

恐ろしい。チェックする人がいないならライターは自分たちで徹底的に校正するしかないなあと思いました。

もう辞めたけど、WEBだからってそんな認識のままでいたらやばいよ。ほんと。

チェックされる側になって

今はもう編集も校正もやっていなくて、書いたものをチェックされる側になりましたが、「誰かがチェックしてくれるから適当でいいや」とはならないようにしたいものです。

ライターが推敲するのは当たり前だし、たとえブログでもミスは恥ずかしいし(←お前お前!)、紙でもWEBでもそこんとこは胸に刻んでおきたいと思う所存です。

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