ゴールデンカムイ279話「俺の手柄」【本誌ネタバレあり感想】杉元の帽子

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ゴールデンカムイ最新話279話を読みました。

何週にもわたって下半身丸裸でしたが、今回でやっと服を着てくれる……。

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救い


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返せって言われても股間おさえてる帽子なくなったらお縄になりますからね。道行く人々が気にせず歩いてるのが不思議ですが。

勇作さんの情報により、この帽子が菊田さんの弟のものだということを知っている杉元は核心に触れます。菊田さんの弟は、菊田さんの勧めで軍に入って病死したようです。軍に入ればメシだけは食えるから、と。貧乏な家で、良かれと思って誘ったけれど、弟を死なせることになってしまった。

当時戦死よりも病死のほうが多いっていうのは結構有名な話ですよね。陸軍では脚気で死んだ人が戦死者を上回っていたとか。これは白飯ばかり食べていたせいです。逆に、海軍では麦飯が中心だったため脚気による死者はいなかったとか。「白飯が食えるから」と入った軍で、白飯のせいで死んでしまったんじゃあね……。弟さんの死因が脚気かどうかはわかりませんが。

菊田さんが先週突き放すように言ったのは、杉元がメシのために軍に入ろうと思う、と言ったことで、同じ目に遭わせたくないと思ったのでしょう。弟は自分が殺したようなものだから、「地獄行きの特等席」だと言ったわけですね。

その呪いからすくいあげたのは杉元でした。弟の帽子をかぶり、呪縛から解き放ってくれました。きっかけは菊田さんかもしれないけど、軍に入ると決めるのは自分だから、恨むことはないと。それに、あの父の死に向き合った日以来「不死身」ですからね。

この間、杉元はすごいいいこと言ってるんだけど、帽子被っちゃったから下丸出しなんですよね。めちゃくちゃいい顔してて下フリチンなんだよ。なんて漫画だ。

この言葉で、間接的に弟から許しを得たような気がした菊田さんは、杉元に帽子をやって別れました。

杉元が入浴時でも帽子を脱がないのは菊田さんのためだったんでしょうか。

杉元は花沢勇作の件について納得がいってないようだけど、この件はここでおしまいです。(シャツ引っ張って隠れる程度のサイズ感でよかったね!)

しかし、杉元が「彼には選択肢がある」と最後まで気にしていたのを見ると、勇作さんの死が後悔になってアシリパさんの選択にやたら首を突っ込むスタイルになったんでしょうかね。あのとき杉元自身が勇作さんに「君には結婚して戦争に行かない選択肢もある」と伝えられていたら、勇作さんは戦死しなかったんじゃないか、と。

勇作さんとアシリパさんを重ねているのは尾形だけではなく、杉元もだった。今まで杉元と勇作さんのつながりが見えなかったのでわかりませんでしたが、また杉元と尾形の共通点が出てきた。違うのは、尾形がどこまでも自分の論理に相手を引きずり込もうして、従わなければ殺してでも自分の論理を正当化しようとするのに対し、杉元はきっと相手が出した答えが自分の望むものでなくても理解するだろうということです。杉元はアシリパさんの未来の件では一度強引に「これが幸せだ」と押し付けようとしたけど、今は軌道修正してますしね。

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菊田と尾形

菊田さんが第七師団に転属となったのはこの後だったようです。仕事はやはり鶴見中尉の監視。ここで、尾形も同じような立場であることが明かされますが、やっぱり本人は何考えてんだかわかりません。

杉元回想おわり直前、二〇三高地の勇作さんの死の場面が出てくるんですが、目がバチーンと開くところがこわい。こわいんですけど、これは杉元が列車の中で見ている夢だろうから、おそらくこの目はアシリパさんの目なのだと思います(どっちかっていうとウイルクっぽくてこわい。網走監獄でのウイルクの死も重ねられてるのかも)。すると上の話とも整合性がとれる。自由に生きられたかもしれない人。別の選択をする権利があった人。

さて、同じく自由に未来を選択する権利をもつアシリパさんが勇作さんのようながんじがらめの人生を歩まないようにするために、どうするのか。

杉元がアシリパさんの未来をあれほど気にするのは、勇作さんのような運命をたどるのでは、という恐怖のあらわれなのでしょうか。

杉元が遠くから勇作さんの死を見ているところ、勇作さんを挟んだ向こう側には尾形が立ってるのがまたね……。尾形はこの時何を思っていたのでしょう。

暗号解読

列車の中ではアシリパさんと土方さんが暗号解読を進めています。「ホロケウオシコニ」はそれぞれの人皮にかならず4つ以上入っていて、皮を重ねると文字の間隔がぴったり合うものがある。そして、ボウタロのコインと同様に、どの線にも交わらない線があるということ。

暗号が漢字なのは前々から気になっていたことですが、ウイルクの意図は何だったんでしょうね。土方さんの言うように「和人と協力しろ」という意味なのか、白石の言うように「和人を利用しろ」という意味なのか。

一方、鶴見中尉もとうとう暗号を解読するに至りました。

菊田さんは杉元過去回想ではあんなにアンニュイな最後だったのに、ノラ坊が「不死身の杉元」だと知るや、不死身の杉元のおかげで何人もの日本兵の命が失われずに済んだのは「俺の手柄」とかいって笑ってるんですよ。それ本人に言ってやれば喜ぶんじゃないかなあ。菊田さんからの言葉だし、杉元はずっと自分を「役立たず」だと思って生きてきたわけですから。

でも菊田さんがフフンと笑っているころ、杉元は相手が菊田さんでも敵なら本気で戦う決意を新たにするのでした……!!

暗号解読直後、鶴見中尉が最初にとった行動は菊田さんを撃つことでした。二発。二発連続。中央の回し者だと分かっていて今まで泳がせていたけど、ここから先は教えてやる気はないよってことですかね。でも二発って。殺す気マンマン……。

やめて……!菊田さん他人から奪った拳銃腹に巻いてたりするからどうか無事でいてほしい。

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