ゴールデンカムイ最新話241話を読みました。
騒々しい札幌から離れ、今回は杉元陣営、山中です。ちょっと切ない。
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別れる男に花の名を教える
ゴールデンカムイ 21 (ヤングジャンプコミックス)
今回の冒頭のアオリ文「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます」というのは川端康成の『化粧の天使達』という作品の一節です。
たったひとつの花の名を教えること。自分との思い出と結びついて、その花が咲く度に思い出してもらえるからです。ひとつだからこそ印象深く残り、毎年思い出して、絶対に存在を忘れられなくなる。別れると決まってる男に自分を忘れないよう教えるわけですから、一種の呪いみたいなものですね。
エゾヤマザクラ「アイヌ名:カリンパニ」が咲く季節。4月下旬から5月ごろでしょうか。アシリパさんはいつもと同じように、植物のアイヌでの名と、用途について杉元に教えます。カリンパニだけでなく、弓の木という意味のクネニ、杓子の木という意味のカスプニ(プは小文字)などなど、植物の名とその由来まで事細かく教えます。
杉元はいつもアシリパさんから離れることなく教えを享受しているので、アシリパさんといつか離れたとしても、年に一度といわずアシリパさんのことを思い出すでしょうね。
白石の立ち位置
杉元・アシリパさんと離れた場所に座って会話しているのが白石と房太郎です。ヴァシリが見当たらないけど、馬は見えるのでどっかにいるでしょう。お絵かきでもしてるんじゃない。
房太郎は会って間もない人間でもよく観察しているなあと思っていましたが、ほんと人が触ってほしくないところを突いてきますね。杉元はアシリパさんから離れない。このふたりの関係はちょっと特別ですから、余計白石が浮いて見えますよね。このパーティーは尾形やらキロランケ、ヴァシリ、などなど人が入れ代わり立ち代わり出入りするのでそう目立ちはしませんが。
房太郎は網走監獄時代の白石を知っているぶん、白石がなぜ杉元らを選んで仲間になっているのかがちょっとわからないようです。そりゃまあ鶴見陣営、土方陣営と比べたら見劣りする弱小ですからね。手持ちの刺青人皮は少ないし。
房太郎の問いに、白石はのらりくらりと「成り行き」とか「賭ける人数が少ないほうが配当も多い」とか言ってかわしますが、房太郎は隠してることがあるんじゃないかとさらに食い下がります。アシリパさんの目の色から、のっぺら坊とのつながりに気づいたようです。杉元たちはこれまでの金塊探しの流れを房太郎に教えてやるつもりはまるでないのか……。思えば房太郎と絡みだしてから、「アイヌの少女」という異質な存在のアシリパさんは「北海道の案内役」程度の紹介でしたね。暗号の鍵であるアシリパさんが奪われたら終わりだしね。
房太郎は自分の髪が白石の顔にかかるほどの距離まで詰め寄って情報共有しようと言いますが、白石は教える気がなさそう。(それはそうとボウタロサンの髪ってめちゃくちゃ柔らかそう)
白石の目的が金塊の山分けだけなら、鶴見中尉か土方さんについたほうがよっぽど安全で確実性が高いわけで、今杉元たちを選んでる時点で別の理由があるのは確かです。
網走で杉元からアシリパさんを託され、樺太ではずっとそばで過ごしてきました。杉元との再会後、アシリパさんの意思にかかわらず自分の願望を押し付けようとする杉元にブチ切れた白石は、もはやただ金塊を山分けするために組んだ関係以上の感情をもって接してますよね。相棒だし、大切な仲間です。キロランケの死でも随分心を動かされたはずです。
アシリパさんは暗号を解く鍵を持っています。ただ、暗号解読の方法についてはいまだにアシリパさんしか知りません。杉元はアシリパさんから教えてもらったのか。平太師匠の砂金採りの際に白石はそれとなく聞いていますが、杉元は「いや…」と言葉を濁すのみでした。
杉元はアシリパさんが方法にたどり着いたことを知っていて、教えてもらえないことに落胆してるんでしょうね。アシリパさんに信頼されていないような気がして、だから白石の問いへの返答も不明瞭なのでしょうが……。白石にとっては杉元のその反応がまた信頼されてないように映り、ショックなのです。
切ない。
杉元とアシリパさんが白石を信頼してないなんてことはないんですよ。ちょっとあのふたりの関係が近すぎるだけでね。3人グループはどうしてもひとり余っちゃうんだ。そりゃもう世の理なんだよ。
ただ、何話か前にアシリパさんが冗談っぽく「白石は信用できない」的なことを言ってるのがまたね、悲しいね。冗談なんだけども。
房太郎の手札
多くを語ろうとしない白石に、房太郎はまず自分の手持ちのカードを出してみることにしたようです。不思議な模様の金貨を出しました。支笏湖で砂金と一緒に沈んでいたものだそうで、房太郎はこれが囚人の入れ墨に似ている、暗号解読のヒントになるのでは、と考えているようです。
さ、相手が重要な情報を出してきたところで白石はどうするのか。
その反応はしばらくお預けです。
しかし房太郎はかき乱してくれる……。
消えてしまったカムイ
「ウイルク」とは狼のことで、アシリパ母が新しくつけた名「ホロケウオシコニ」も狼にちなんだ名(狼に追いつく者の意)。エゾオオカミはカムイで、「ホロケウカムイ」といいます。
幼少期のアシリパさんが「ホロケウってどんなカムイ?」と尋ねたとき、ウイルクは「消えてしまったカムイ」と答えています。現在エゾオオカミは絶滅したと考えられていて、明治時代もすでに消えたものと考えられていたようです。アシリパさんはそのあとにレタラと出会っていますが、これから生まれてくる子どもたちがホロケウカムイの姿を見られるかどうかはわかりません。
アシリパさんは十中八九この「ホロケウカムイ」が暗号を解く鍵で間違いないだろうと考えていますが、父やキロランケがなぜ金塊をめぐってアイヌを大勢殺し、またふたりとも死ななければならなかったのかがわかりません。その答えがでないまま、金塊を見つけてしまっていいものか。それが気がかりなのです。
それに、アシリパさんが口を閉ざしていれば、杉元がアシリパさんから離れることは絶対にないのです。これは暗号解読の方法を伝え、杉元がアシリパさんから離れて無茶をしないため(アシリパさんが弾除けになること)であり、またすべてが片付いて杉元が自分の元から去るのを恐れているためでもあるでしょう。
アシリパさんが口をつぐむのははたして誰のためか。
今回、ついにアシリパさんが核心に触れました。杉元は金塊を見つけたらどうするのか。故郷へ帰って梅ちゃんと暮らすのか。
答えを聞く前に周囲の樹が一斉に倒れだしたのでしばし保留ですが……。
梅ちゃん問題はけっこう気がかりですが(鶴見中尉の出方次第では杉元グラグラしそう)、こと金塊争奪戦に関してはもはやアシリパさんのことしか考えてないんだと思うけどな。その後杉元が去るのかどうかはわからないけど、今は何よりもアシリパさんが大事なんだよ。
この3人はもどかしいなあ。白石はふたりの絆にはかなわない気がして、聞きたいことは聞いてみるけど自分の思いはぶつけきれない。杉元は白石のことは相棒として結構信頼しててわりといろいろ打ち明けるけど、アシリパさんには自分の本当の目的は知られたくなかったし、汚いことはさせたくない。アシリパさんを「さん」づけで呼んで尊重しているようでいて、誰よりも一番子ども扱いしている。アシリパさんは杉元への恋心があるゆえに、杉元の動機に深く踏み込めないでいる(今回そこにやっと踏み込みましたが)。
全員ちょっとずつ壁がある。杉元に関してはエゴですが、白石とアシリパさんは「相手の一番ではない」ことによる劣等感、遠慮からくるものではないかと思います。
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