ゴールデンカムイ最新話291話を読みました。
今回の扉アオリ文は「マタイ伝」からですね……。今回多い。
「求めよ~」はそりゃそうなんですけど、進んで求めてる人間ばかりな中で神は一体誰に与えるんでしょ。
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前回の感想はこちら↓
父の愛
ゴールデンカムイ 27 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
艦砲射撃の勢いがすごい中、鶴見中尉はアドレナリン出てるというかいつもの汁が出てますね。敵が木端微塵になろうが手首が飛んでこようがお構いなし。
右の頬を打たれた鶴見中尉。これもまた新約聖書「マタイによる福音書」を思い出す描写です。鶴見中尉は右の頬を打たれたら左も差し出せますか。そうは見えないけど。
細切れになった肉塊が降ってきてまだ落ち着かない様子の鯉登少尉は「父の愛があれば息子に砲弾は落ちん」と中尉に鼓舞されて笑みを浮かべますが、それ月島軍曹の前で言うことかい。
父と息子が同じ戦場に立っていて、どちらかが死んでしまってもおかしくない状況。鯉登父子を見ていると乃木希典と戦死した息子二人のことを思い出してしまうんですけど(花沢幸次郎でもそうですが)、乃木希典の長男・次男とも戦死時の階級は少尉だったんですよね……。
乃木兄弟が出兵する時に母が戦死する可能性を考慮して異臭を放たないように香水を持たせたという逸話はなんか勇作さん母と対称的だったり……とかね。
これは今回の話からかなり遠ざかってしまうんですが、鯉登平二にしろ花沢幸次郎にしろ、「二」「次」って嫡男ではないことをほのめかす名前ですよね。どっちも家督を継ぐ立場じゃなかったんでしょう。まあ次男だから軍人になったっていうところもあるんだと思いますけど。
花沢幸次郎は婿養子説がありますよね。婿養子だとおもしろいし、あるいは何らかの事情で兄が亡くなったとかでもおもしろい。そこに尾形の言う「祝福された子」かどうかの真相が隠れていそうで。まあ勇作さんは「祝福」されはしたでしょうが、言い換えれば両親の愛の末に生まれたかどうかですよね。254話でアシリパさんはオストログに「私は両親が愛し合って生まれた」と言っている。オストログのコンプレックスと尾形のコンプレックスは近い。
アシリパさんの言葉を正解としてしまうと今度は勇作さんが「間違い」疑惑が浮上するので何が正解とかではないんですけどね。白か黒か明確にしようとする尾形の考え方が間違ってるんですよ。自分に自分でレッテルを貼って、人と少しでも違えば相手がおかしいのだと決めつける。例えば「罪悪感」について、本当は尾形も勇作さんも同じで、尾形にも罪悪感はあるのに。その強迫観念を取り払うだけで大分生きやすくなるのにね……。人と違うところを気にしまくって何かと答えを出そうとするのやめたほうがいい。でも尾形が生きづらいのは環境のせいなんですよね。典型的なアダルトチルドレンだから。
話が逸れまくってしまった。
マンスール大活躍
艦砲射撃のおかげでいよいよ鶴見陣営が突入かというところで、先週の回天の主砲登場です。やっぱりマンスール砲兵だった。これで鯉登パパたちは大分やられ、気球も落とされてしまいました。艦砲射撃はもう無理でしょうね。たぶん。
骨董品の主砲をここで活用できて爽やかニシパもうれしそうですよ。
コメント
こんにちは。
またお邪魔します。
樺太で右目をくり抜かれてからの尾形が、無意識のうちに罪悪感を意識しているように、右の頬をぶたれた鶴見中尉も、否応無しに改心を迫られる展開が待ち受けているのかも。菊田からの連絡が絶えた中央が、鶴見征伐に動いていそうですし。
それにしても父の愛があれば砲弾落ちんって。フィーナとオリガには夫と父の愛がなかったんかい⁈と鶴見中尉にツッコミたくなりますね。
以前の回にあった、ダヴィンチの「最後の晩餐」がモチーフになったコマを見て、気になったことがあります。
キリストの左隣に描かれた人物は、最愛の弟子・使徒ヨハネ。ところが、その位置は白石。作中、アシリパが杉元を異性として意識しているのは海賊房太郎にまで指摘されていますよね。
であれば、杉元が描かれるべき場所のはず。ところが、杉元はペテロの位置。しゃかりきさんが以前ブログに書かれた、キリストのことを3回知らないと言った、のちに初代ローマ教皇となる弟子です。
キリストの磔刑後、その意志を継ぎ、布教に励んだペテロは、最後はローマで暴君ネロに処刑されました。現在のヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂は、ペテロの墓の上に建てられたものです。
まさかとは思いますが、この先の展開でアシリパが死に、アイヌと北海道の自然を守るという意思を杉元が継承するからペテロの位置にしたのでは・・・ないでしょうね?
あの2人は、フチの望み通り結婚して、仲良く狩に行き、ヒンナヒンナしてほしいなぁと願っています。
最終回まで残り何話でしょう?キリが良いので300回はちょっとイヤかも。
いつもコメントありがとうございます。
「父の愛」って、幸次郎から勇作さんへの愛、長谷川幸一からオリガへの愛はもちろんですが、今回これだけ宗教的な内容だとアガペーのことかしら、と思ってしまいます。12月25日生まれの鶴見中尉が「父」とか言うと余計に。
杉元がペテロなのは、アシリパさん過激派な性格はもちろんですが、イエスを3度否認するというところと掛かっているのかなと思います。杉元は「アシリパさんのため」として何度かアシリパさんの意志に反する行動をとっています。黙ってコタンを出ていったのをカウントすると、ウイルクの最後の言葉を教えなかったこと(またアシリパさんの意志を無視して勝手に金塊争奪戦一抜けさせようとした)と合わせて2回。残り1回がどこで来るか、結構怖いです。
さすがに今の感じだと300回では終わらないんじゃないでしょうか。
ていうか尾形と頭巾ちゃんが全然出てこないので、そっちがまだ片付きそうにないですよね。
こんにちは。
鶴見中尉、12月25日生まれなのですか。公式ファンブックをまだ見ていないので知りませんでした。それなら、「父の愛」はアガペーの可能性が高いかもしれません。もしかしたら、野田サトル先生はクリスチャンか、キリスト教の教育に触れた経験のある人なのかしら?と読むたびに思います。
しゃかりきさんが仰るように、「ペテロがイエスを3度否認する」=「杉元がアシリパの意思に反する行動をとる」ことであれば、五稜郭を脱出する時に、一緒に逃げようと言うアシリパを白石と土方と牛山に託し、杉元はソフィアたちと五稜郭に残るという展開がありえるかもしれませんね。自分が囮になって、鶴見中尉を引きつけるために。
最終章、最低でもあと半年は描いてほしいですね。尾形と頭巾ちゃんの対決はじっくり読みたいですし。