映画『ラ・ラ・ランド』を観ていて気になった方も多いのではないでしょうか。ミアの愛車がトヨタのプリウスであることが。
ただ乗っているというだけでなく、作中で「プリウスに乗っている人が多い」ことまで触れられているのです。主人公の愛車がプリウスであることには、何か意味があるんじゃないか。そう思い、考えたことをまとめてみたいと思います。
ミアが乗っているのは2代目プリウスのシルバー
作中でミアが乗っているのは、2代目プリウスのシルバーです。
現行のプリウスよりも古いタイプですね。プリウスは日本でもアメリカでも多く売り上げていて、見ればすぐ「プリウスだ」とわかる車です。
アメリカではどれほど売れたのか。初代はわかりませんが、2代目以降はこんな感じだそう。
2003年に2代目に切り替わって以降、年間10万台を超える販売を続けている。2009年に登場した3代目プリウスにアクアが加わった2012年から2014年までの3年間は20万台以上を売った。カリフォルニア州ではベストセラーカーとなった。
引用元:東洋経済オンライン「プリウス人気が米国でも落ちてしまった事情」
日本と同じくらい売れているようです。さらに、2017年までに累計175万台を売り上げているようなので、2代目、3代目プリウスは結構人気の車種だったらしいとわかります。
パーティー来場者にプリウス乗り多し
プリウスがアメリカでそれなりに名の知れた人気車種だったということは、作中の描写からもわかります。
パーティーで出会いしゃべっていた相手のおしゃべりにいい加減うんざりしていたミアが、さっさと帰ろうと、入口にいたセブに「車のキーを取って」と頼むシーン。
ミアは「プリウスだ」と言うのですが、鍵置き場にはズラッとトヨタマーク。セブも思わず「どれ?」となる。
ミアは目印に緑のリボンをつけていたのでなんとか見つけ出すことができましたが、いかにプリウス乗りが多いかわかるシーンです。
この後もミアは、自分のプリウスをどこに停めたかわからず、セブと歩きながら探すことになります。プリウスが多すぎて自分の車が見つけられない、これも意識されて描かれたシーンのように思います。
なぜ3代目でなく2代目?
私は最初に映画を観たとき前情報も何もなく挑んだので、ちょっと昔が舞台なのかな、と思いました。なんでかというと、今プリウスは4代目が出ていて、2代目はかなり古いから。
調べてみると、2代目は2003年から2011年まででした。
映画の公開は2016年なので、ちょっと前の出来事なのか?とも思ったのですが、ずっと観ていくとそうでもなさそう。
だとすると、ミアのプリウスは中古車なのではないか、と思いました。女優を夢見てカフェでバイトをしているミアに、プリウスの新車が買えるとは思えません。アメリカでプリウスがどの程度の立ち位置なのかはわかりませんが、少なくとも正規雇用でもなさそうなミアがポーンと買える車ではないですよね。
プリウスが人気だからミアも乗っている。それだけだと弱いように思って、ちょっと調べてみると、どうやらアメリカでのプリウス人気には、ハリウッドスターが一役買っているらしい。
先ほども引用した記事には、こうありました。
要因の1つは2代目プリウスの登場と前後して、ハリウッドスターがプリウスに乗るようになったことだ。レオナルド・ディカプリオ、キャメロン・ディアス、トム・ハンクス、ハリソン・フォードらがプリウスでアカデミー賞授賞式のコダック・シアターに乗り付けた。
引用元:東洋経済オンライン「プリウス人気が米国でも落ちてしまった事情」
エコの時代に、ハリウッドスターたちがハイブリッドカーのプリウスに乗るようになった。これが人気の理由だというわけです。
だとすると、ミアがプリウスに乗っている理由はここにあるのではないでしょうか。ハリウッドスターが乗っているから。
ハリウッドで女優を目指すミアにとって、ちょっとでもスターの真似をしたい。近づきたい。それがあの2代目プリウスシルバーに表れているのだと感じました。
2代目で古いし、全然かっこいい車ではないんですが、プリウスだということに理由があったように思います。
セブの愛車との比較
ミアとは対照的に、セブはGMのビュイック・リヴィエラに乗っています。結構古い車で、調べたら中古車でも数百万する高級ライン。燃費も悪そうですよ……。こういうところ、古き良きジャズを愛する男・セブらしい。ミアとは好むものがどこまでも違うんですよね。
二人の愛車に注目すると、ミアのハリウッドへのあこがれだけでなく、二人の性格や好みの違いまで浮き彫りになっておもしろい。
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