ゴールデンカムイ18巻【ネタバレ感想】この世に神はいるのか

ゴールデンカムイ 18巻 感想 ネタバレ エンタメ
引用元:集英社(https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-891334-6)
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ゴールデンカムイ18巻、今回は発売日に届きました。予約してるのにDVD同梱版だけ遅れるのはなぜなのか。解せません。今回は特典カバーも手に入れられない地域だし、ほんと解せん。

18巻は久々に土方さんパートが多めです。表紙の門倉とキラウシが特に活躍。本誌掲載時、「*」←これは笑いました。結局この人肛門チェックばっかしてたの?

17巻の感想はこちらから↓

ちょっと見返してみたら、前の巻は尾形と勇作さんの巻だったんですねそういえば。

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暗号解読の鍵は

171話「樺太アイヌの刑罰」は、鶴見陣営からスタートです。現在杉元も利害関係でこの傘下にいるので、刺青人皮はかなり集まっています。

鶴見中尉はこの暗号を、アシリパが解読できる程度の難易度であると予想していますが、その予想は正しいでしょうね。本誌202話までの間にもう少し暗号に関するエピソードは深まってきていますが、だいぶ山場を迎えた感はあります。

「漢字」である意味

初期のころ、アシリパさんは暗号のために皮をはぐことを嫌った(殺生を避けるため)ので、囚人を生かしたまま暗号のみ写し取っていましたよね。その際、書いてある漢字がアシリパさんには読めませんでした。

「おい杉元これはなんて読む?」

野田サトル「ゴールデンカムイ」18巻/集英社より

「迂」の字の読み方がわからず杉元に聞く場面が。

父(ウイルク)には学校に行って勉強するよう言われたと言いますが、アイヌとして暮らしていきたいアシリパさんは漢字なんて生きていくのに必要ないから、と覚えていなかったのです。

杉元はそのときのことを思いだしながら、岩息の写しを眺めていました。

何か気づいたことがあるのか……。

少なくともこの時点ではっきりしているのは、ウイルクが娘のアシリパさんに金塊をたくしたいと思っていたにせよ、それを探すための暗号はアシリパさんだけでは決して解くことができないものであるということ。

ウイルクの勧めに従って学校に行っていたとしたらあるいは違ったかもしれませんが……。漢字を使っているということは、文字を持たないアイヌにとっては不利です。暗号を解くためには和人も必要だった。

おそらくウイルクが想定していたのは土方でしょう。暗号を書く段階ですでに土方と情報を共有していたでしょうし、利害も一致していたはず。

それともう一つ、忘れてはならないのがウイルクのルーツですよね。アイヌ、日本、そしてロシア。おそらくロシア語も暗号解読には必要だと思われます。杉元はまだそこまでは気づいていないと思いますが……。

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咄嗟にエノノカちゃんをアシリパさんだと思う

杉元たちがエノノカちゃんに最初に会ったときのことを思いだすと、「もしかしてアシリパさんでは?」と情報を頼って尋ねたからでした。

そこからエノノカ、ヘンケも一緒に行動するようになったわけですが、もうアシリパさんと混同するようなことはなかったはず。

エノノカちゃんが逃げてきた樺太アイヌの人殺しに人質に取られた際、杉元が助けるのですが、ものすごい形相で男を攻撃しながら「離れてろアシリパさん!!」と叫んでエノノカちゃんを後ろへやるんですよね。

もうこの子はアシリパさんだと思い込んで行動している。杉元の中で、アシリパさんってもう絶対に守らなければならない存在になってしまってるんですよね。これはここから先のエピソードでも重要になっていくところですが、杉元にとってアシリパさんは光(※17巻参照)で、それを奪還するために今行動しているわけですけど、君本来の目的忘れてないか???と言いたくなる。

杉元はいつから梅ちゃんのことを言わなくなったでしょうね。

完全に忘れてしまったとは思わないけど、優先事項は変わってしまっているような。アシリパさんを金塊争奪戦から守ること、これこそ最重要になってない?

運試し男・関谷

場面変わって、土方さん一行です。

土方と牛山が2日帰ってきておらず心配する永倉さん。門倉は特に気にすることないと言いますが、永倉さんがあまりにも憂えているので探しに行くことに。もちろんキラウシもセットでついてきます。

門倉部長、部長だっただけあってさすがに囚人のことは詳しく、もしかしたら阿寒湖周辺に潜伏している囚人に返り討ちにあったかもしれないと推測します。

その人物は関谷輪一郎という男。戦闘力はないけど狡猾で、あらゆる毒物で人殺しをして捕まった男。監獄内でもいろいろしでかしていました。(回想シーンで今は亡き親分が出てきます。親分……)

この関谷は単におもしろがって人殺しをするというわけではなく、常に毒物を使って運試しをしているのです。簡単にいうとロシアンルーレットですね。

たとえば、3つのうち1つの味噌汁だけに毒を入れ、自分を含め誰が飲んで死ぬかを試したり……。趣味は悪いですが、この人クソ真面目にやってるんですよね。

「俺は運を見るのが好きなんだ 運の悪いやつを殺してきたのさ」

野田サトル「ゴールデンカムイ」18巻/集英社より

と、そういうわけだそうで。

案の定、土方さんと牛山が帰ってこないのは門倉が考えたとおり関谷のしわざだったのです。

半分は毒、半分は当たり

関谷は自分に接近してきた土方さんに、丸薬を飲ませました。牛山を人質に取られているので飲むしかなかったのです。それでハズレを引いた土方さんは関谷につかまってしまったという。

関谷自身刺青だの金塊だのには興味がなく、それ目当てに近づいてくる奴らを運試しに巻き込むのを楽しんでいました。探しにやってきた門倉・キラウシもまんまとターゲットにされてしまうのですが、門倉の天性ともいうべき凶運で回避……。

どうでもいいけど、キラウシって大体○○ニシパって呼ぶのに、門倉だけ「門倉~」って呼び捨てなんだね。いいね。さすが門倉部長。

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おべんちょ

一方、牛山はというと……。

フグ毒とチョウセンアサガオでやられていましたが、怪力で棺桶を破って逃走。チョウセンアサガオは幻覚を見たり記憶障害になったりするので、亡者のよう。

そのまま阿寒湖周辺をふらふらしていると、ガキ大将みたいな奴らにいじめられているボンボン・チヨタロウと出会います。

意図せずチヨタロウをいじめっ子から救った牛山。満足に言葉も発せない状態ですが、名前を問うチヨタロウに「おべんちょ…」とつぶやきます。

それを名前だと認識したチヨタロウ。オベンチョはいじめっ子撃退に便利な奴だと思い、勝手に子分にしてしまいます。

※おべんちょの意味については……調べてみてください。あまり声高に叫ぶのはよろしくない言葉ですのでね。牛山、尾張出身なのかな?

チヨタロウ、桃の乾物で餌付けして怪人おべんちょを手中に収めたはいいものの、あっという間にその危険性を悟って手放してしまいます。早い話が、暴力的なので湖に沈める作戦に出たんですね。かわいい顔してチヨタロウ、迷いがない。

こうして怪人おべんちょもとい、牛山は湖にダイブするのですが、ようやく毒の利き目がきれて正気を取り戻すのでした。

覚悟の門倉

一方、門倉&キラウシは関谷から土方さんを取り戻す作戦に出ます。

刺青と引きかえに土方の居所情報を渡すといわれて湖の真ん中に呼び出された門倉は、服をすべて脱ぐようにいわれて靴下と靴だけの姿に。全編とおしてきっと誰も求めていなかったであろう裸です。尻にキラウシのマキリをはさんで隠していましたが、あっさりバレるし。キラウシが父親からもらった大事なマキリなのにね……。この後尻にはさんだのバレたのかな?気になる。

門倉とキラウシは作戦が失敗したように見せかけ、逃走する関谷を追って土方さんの居所を突き止める作戦でした。案の定、怪しんだ関谷は逃走。

門倉は追いかける途上で、湖から突如頭を突き出した牛山に出くわします。そう、ちょうどチヨタロウに捨てられた直後だったんですねー。

一行はなんとか関谷を追い、居場所を突き止めます。急がないと時間ぎれになるのですが、また関谷は「あんたに試練を与えよう」とか言う。すでにこの状況が試練だというのによ……。

門倉はおなじみのロシアンルーレットに誘われ、仕方なく乗ってしまいます。半分は毒、半分は当たり。対角線上に毒と当たりを配置し、門倉がひとつ選んだら関谷は対角線の丸薬を選ぶというルールです。

門倉さんね、自分がツイてないの十分わかっているので、ええいままよと選んだ丸薬を口にします。すると10分やそこらで効き目が出て来る。当然のように毒を引いてしまったわけです。トリカブトだそう。

この世に神はいないのか

毒が効いてくるまでの間、関谷は自分語りを始めます。

昔、関谷は幼い娘と教会から帰っている途中、不運な事故に巻き込まれてしまいました。雷が娘を直撃し、娘だけが死んでしまったのです。

なぜすぐそばにいた自分ではなかったのか。これは神が与えた罰か。教会から帰る描写からして、もともと関谷は信心深い人間だったのでしょう。それが、偶然のできごとで娘の命を奪われてしまった。

そこから神の存在、神の意志について疑問を抱くようになり、運試し野郎になっていったというお話。

この人、自分の運命を人に任せて(いつも相手から選ばせる)裁きを受けたかったんでしょうね。結局は生還した土方さんによって殺されてしまいます。それすら「ようやく神に裁きを与えられた」とか言って歓喜するあたり、受け身の人生だなあ……。

土方さんは石田散薬ですからね。薬を売り歩いてた人ですから。毒の知識もあって、フグ毒を相殺するトリカブトを飲んだんです。それにしても、ほかの毒もある中で躊躇することなく丸薬を口にした度胸がすごい。運を引き寄せてますよね。この人は生きるためならたとえ死ぬ可能性があっても自ら動かねば、という能動の人。そこが関谷とは違います。

ちなみに、トリカブトを飲んだ門倉はさっさと楽になろうとつかんだ丸薬が偶然2粒ともフグ毒で、偶然相殺されてケロリと元気になりましたとさ。凶運。

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ソフィア奪還作戦始動

樺太パートへ。

いよいよ、暗号解読のカギを持っているかもしれないソフィアを奪還しに動き始めます。

ここまできてもなお、アシリパさんは金塊がアイヌのためになるのか?と問いますが、キロランケは、アイヌだけでなくウイルタやニヴフ、その他樺太やロシア極東の少数民族がそのままの形で存続できるように、と目的を語ります。

亜港監獄のソフィアと手紙でやり取りを繰り返し、とうとう結構直前。最後の手紙でキロランケは、おそらくウイルクの死を告げました。直接言うのはためらわれたのかな?

長谷川幸一という男

177話「長谷川写真館」。ウイルクやキロランケがどうやって日本語を学んで日本へ渡ってきたのか、今まで謎でしたが、この回でそれが解き明かされました。

皇帝暗殺から逃亡を続けること10年以上。ウイルク、キロランケ、ソフィアは、極東ロシアやアイヌらの少数民族を仲間に引き入れるべく東へ向かっているところでした。日本へ渡る計画で、そのためには日本語の習得が必要だった。

彼らが頼ったのはウラジオストクで写真館を開いている長谷川幸一という男。フィーナというロシア人女性と結婚し、まだ赤子の娘オリガと3人で暮らしていました。

長谷川は日本語講師を引き受け、三人は長谷川写真館に通うように。ウイルク、キロランケはみるみる日本語を習得し、とくにウイルクの成長はめざましいものだった。その賢さは恐ろしいほどであると妻に語る長谷川……。

ソフィアはあまり上達しません。長谷川は三人が何者なのか聞くことはしませんでしたが、ふとした瞬間「メルシー」などとフランス語が出るソフィアについては上流階級の出であろうと推測していたようです。

同じような時代のロシアを描いた『戦争と平和』なんかを見ても、貴族はフランス語を使ってるんですよね。主人公「ピエール」なんてまさにフランス読みですし。

ソフィアは貴族の出なので、農民のような出で立ちでも生まれついての癖は抜けなかったようです。

革命家

178話「革命家」にて、長谷川は明治維新の三傑について語って聞かせます。大久保利通、木戸孝允、西郷隆盛。それぞれ「冷酷さを持ちながら決断する人物」「柔軟な人柄で合理的な人物」「誠実で人望があり、人を指揮する能力のある人物」。

長谷川は語るだけで3人に当てはめることはしませんでしたが、描写からして上からウイルク、キロランケ、ソフィアになぞらえています。

維新の三傑、つまり徳川の世から明治へ時代を変えた革命家たちを挙げ、暗に「あなたたちが革命運動をしていることを知っている」とほのめかすように。

追われていたのは

長谷川は三人から何かを感じたのか、妻と子を実家に帰らせます。いつもどおり日本語を教わりに来た3人にも

「もうここに来てはいけない…今すぐ出ていきなさい」

野田サトル「ゴールデンカムイ」18巻/集英社より

と遠ざける態度に出ます。

三人の素性がバレたのか……。そこへタイミングよくロシアの秘密警察が訪ねてきたので、余計そう感じてしまったでしょう。

ところが、追われていたのは長谷川のほうだったのです。長谷川は長く潜伏していた日本のスパイ。居合わせたウイルクらも一緒に写真館に隠し持っていた武器を使って秘密警察を抹殺しますが……

三人の指名手配写真?似顔絵?を偶然見つけて不安に思ったフィーナが戻ってきていたのです。誰が撃った弾だったのか、一発がフィーナと赤ん坊に当たってしまったのです。

ウイルクたちは手配書がすぐそこまで出回っていることを知って危惧し、北上して歩いて樺太へ渡る計画に。ソフィアは長谷川の妻子を死なせてしまった責任を感じ、また革命家としての責任を持ってこの地に残ることを決意します。

「ウイルクを愛しているから」「殺した赤ん坊が頭から離れない」といって違う道を選んだソフィア。別れてもう10年以上、監獄でウイルクの死を知ったソフィアは何を感じたんでしょうね……。

ウイルクを殺した男がキロランケの仲間で、殺害の合図をしたのがキロランケだと知ったらどうする?地の果てまでも追い回しそう。

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長谷川の正体

素性がバレ、妻子を一度に失った長谷川幸一。死の淵で自分の名を呼ぶ妻に、「私はハセガワコウイチではない」と明かします。

本名は鶴見篤四郎

眼鏡をとった長谷川幸一は、まさに若き日の鶴見中尉その人でした。

絶命した我が子の小さな手を握り、妻子を家に運んで火を放った鶴見。もうその顔は鶴見中尉そのもの。優しげな長谷川幸一ではありません。

この家に火を放つ描写、杉元を思い出しますよね。家族を失った男ってもうなにも失うものがないのか、そういう表情。杉元も似たような表情でした。

さて、いよいよソフィア脱獄の日。時を同じくしてようやく杉元たちも亜港へ。19巻は邂逅です。

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