はじこい10巻読みました。10巻にして、恋愛模様はそれぞれまとまりつつあるかな?という感じです。
いつも思う。本編2話分しか収録されてないのに、読み終わるとドッと来る。いや、1話分のページ数は多いので当然なんですけどね。
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9巻の感想はこちら↓
父親“に”認めてほしい山下息子・修斗
初めて恋をした日に読む話 10 (マーガレットコミックス)
9巻のラストで登場した山下くんの息子・修斗。中学生くらいかなーと思っていたら、小5でした。
父親を「カズ」と呼び、母も名前で呼ぶ修斗少年は、どうやら小学生にして東大受験に向けた勉強をしているようで、バカ高からにわかに東大を目指すというユリユリにちょっかい出しにやってきたのです。
まー、順子にとってはユリユリの集中を阻害される迷惑な存在なので、父・山下に報告。
しかし、修斗は見た目のとおり、物分かりがよく手のかからない子だったようで、山下はあまり問題視していないようでした。
山下は自分が親に勉強を強要されていた嫌な経験から、息子には勉強なんて気にせず、子どもらしく過ごしてほしい、好きなように生きてほしいという気持ちで育ててきたようです。
ですが、当人の修斗は息子とはいえ同じ人間ではありません。考え方も違います。修斗は勉強が好きで、いい成績をとったら周囲がほめてくれるのがうれしいのです。なのに、唯一父親だけがほめてくれない。「勉強なんてしなくてもいい」というのは山下なりの息子の好きなようにさせたいという親心なのですが、親の心子知らずというか、修斗にはむしろ「愛されてない」と捉えられるのでした……。
誰もがほめてくれるのに、父親だけがほめてくれない。認めてくれない。
両親が離婚すると決めたとき、修斗は自分の意思で母についていくことを決めました。これは別に「母親の方が好きだから」というわけではありません。両親のどちらにも、同じだけの愛情を持っているように見えました。
それなのに、父は自分があっさり母を選んだことを納得し、未練はないように見える。
追い討ちをかける出来事がありました。父はさぞ独身を謳歌しているだろうと思ったら、東大受験するという教え子を応援しているという。息子の自分がいい成績をとっても見向きもしなかったのに、赤の他人の東大受験を心から応援している父の姿を見て、修斗はプッツン来たんでしょうね……。
「父に認めてほしい」という気持ちは、「山下」に認められることでしか埋められません。
それなのに、父の中で本来なら自分がいるはずのところに、頭がピンクの赤の他人のユリユリがいるわけですから、おもしろくないのはよくわかります。
10巻ラストでは、嫉妬に駆られて嘘をつき、ユリユリを川へ。11巻では山下とちゃんと話し合って、思ってること全部を伝えられるといいですが。
特別の席は空席のまま
さて、一方の雅志。
なんと酔った勢いで牧瀬さんとやってしまいました。おめでとう脱○貞。
雅志ほとんど何も覚えていないと謝りますが、牧瀬さんのほうは納得の上のことなので、そうやって謝られるほうが嫌だろうな。
正直、雅志自身が順子への想いを整理しきれていない状況でこうなったこと、なんかもやもやします。幸せになってくれりゃ、それでいいんですけどね……。
牧瀬さん自身も、それをわかった上で雅志の家に上がったけど、自分の名前を呼ばれないっていうのは辛かっただろうな。
雅志は中学のころから順子ひとりに振り向いてほしくて、それでも叶わない。牧瀬さんもフラフラして一度は結婚してもいますが、中学の時ずっと目で追っていた雅志への想いは、やっぱり雅志でしか埋まらないのです。
修斗も雅志も牧瀬さんも、みんな「この人だけに」と思うことが叶わない。
一番大切なものって何?
修斗は、ユリユリが文科省の官僚の息子で、それなのにピンクの頭してバカ高に通い、14歳の塾講師と噂になっているなんてマスコミに流したらすぐにワイドショーのネタになる、と脅します。
しかし順子は、そんなことになったら自分はすぐに担当から降りる、とあっさりしたもの。
「世間に後ろ指さされても自分が守る」と覚悟を話したユリユリに対し、順子の方がこんな感じなので修斗は納得がいきません。なぜそんなにあっさり「やめた」と言えるのか。
修斗がつっかかるのは山下くんのことがあるからです。離婚は仕方ない。けど、なぜすぐ納得して、あっさり自分と離れて暮らす道を選択できるのか。
順子に対して怒りをぶちまける修斗に、順子は
「何が1番大切か それが決まってるから迷わないの」
持田あき「初めて恋をした日に読む話」10巻/集英社より
と言います。
ある程度年をとると取捨選択できるようになる。順子にはそれがわかってるから、一番大切なもののためならそれに連なるものであっても切り捨てられる、と。
そう言い放った順子が一番大切にしているものとは何か。そりゃ、ユリユリですよ。
22話のラスト、川に入ったユリユリを助けに入り、本人の前でそう言い放ちます。ここまで散々はぐらかして、自分の中の感情さえなかったことにしようと努めてきたのに。
そうはいっても、この後も簡単にくっつきゃしないでしょうね。一番大切なものがはっきりとわかってても、貪欲にまっすぐに、相手にぶつかっていけるほど簡単じゃないこともわかっているからです。
今回は本編2話、もう1本は番外編です。番外編は珍しくユリユリ視点のエピソードでした(笑)
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