ゴールデンカムイ最新話230話を読みました。
谷垣は危険を覚悟の上でインカラマッのいる病院へ乗り込みましたが、絶対殺すマン月島軍曹が立ちはだかります。
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前回の感想はこちら↓
家永カノが守った完璧な美
前回、ラストでは月島軍曹にだいぶ押されていた谷垣。先遣隊では仲間で、みんなのお母さん的存在だった月島軍曹、敵になるとこうも手ごわいか……と。
理性のある杉元って感じですね。強さは。
1対1ならば確実に谷垣が負けていたでしょうが、家永の打った薬のおかげで軍曹は倒れます。
腹を撃たれた家永は当然瀕死。谷垣は「なぜ家永が」という顔をしますが、インカラマッは家永の過去の話を聞かされているので、なぜかはよくわかっているはずです。家永は「インカラマッさんはこれから完璧になるから」と、ただふたりを逃がすことを考えます。
今回の扉絵は、床に仰向けに倒れて息をひきとる家永。これは意識的にだと思いますが、床に飛び散った血しぶきがまるで聖母像の光背のように輪を描いています。あおり文の
貴方の完璧は、きっと現在(いま)、この瞬間(とき)。
野田サトル「ゴールデンカムイ」230話/集英社より
の「貴方」とは、まず第一にインカラマッを指していると思いますが、家永のことも指しているのだと思います。家永からインカラマッへの言葉とも受け取れるのですが、あえて「あなた」ではなく「貴方」の漢字を使っているところを見ると、家永も含めてるんだろうな、と。インカラマッだけならきっと「あなた」でも「貴女」でもよかった。
鯉登少尉の立場
絶対殺すマンの月島軍曹とは打って変わって、次に立ちふさがった鯉登少尉はふたりを逃がすことを選択します。
銃を構えてはいるものの、唇を噛んで苦渋の表情を浮かべ、逃がしました。インカラマッと仲良くなっていたことももちろんあるでしょうけど、鯉登少尉はもう鶴見中尉に絶対服従する気はないんだろうな、と思わせる場面ですね。
薬を打たれてぶっ倒れても追いかけていく月島軍曹とはまるで違います。だいたいセットで語られるふたりですが、こうも向かう道が違うのかと。このふたりは、決別するのではなくどっちかがどっちかを引っぱっていくんだろうな、とは思うのですが、まだ読めません。
月島軍曹は一度意識を失ったものの、再び立ち上がって逃げるふたりを窓から撃ちます。そして山の空き家まで逃げたふたりのあとを追ってまた戦う。
月島軍曹との取っ組み合いで頭を怪我した谷垣は、アイヌのハチマキをして(なんでしたっけ、マタンプシ?)すっきりさっぱり、鶴見中尉の手下からマタギの谷垣へ返り咲きます。やっぱりそれが似合ってる。
聖母子モチーフ、命の円環。
今回の扉絵は聖母がモチーフでした。
谷垣は破水したインカラマッを連れ、なんとか月島軍曹をまいてある場所へたどり着きました。
小樽に帰ってきたら行くところはひとつですよね。フチのところです。あの、稲妻強盗と蝮のお銀の子どもはだいぶ大きくなっていました。
生き残った子どもを拾い抱き上げ、フチのところへ預けたのは鶴見中尉たちでしたね。このときのモチーフも、聖母子と天使でした。
↑の絵です。
今回は聖母に始まり聖母に終わるという感じ。このモチーフからも、命はつながって、人につなげられて円環しているんだな、と感じますね。家永に救われた母子の命は、ここでまた人に助けられます。家永の「役目」はこれだったのか、というとちょっとわかりませんが、少なくともインカラマッには大きなものをもたらしたと思います。今回は最後泣いてしまった。
フチを頼るってことはおそらく鶴見中尉側にもすぐわかることで、ここにたどり着いたことが安全だとは言えないんですが、フチの顔を見ると安心してしまうんですよね。家に飛び込んだ谷垣、今にも泣きそうな顔です。
破水したインカラマッはあんな惨劇を目の当たりにして、おまけに馬に揺られて、あぶない状態なのかもしれませんが、フチのところに帰ってきたなら安心だ、と思っちゃうんですよね。
それにしてもね、絶対殺すマン月島はかぶりつきで見たいからっていったい何がそこまでさせるんでしょうね。そういえば彼は、↑の聖母子シーンのとき、鶴見中尉が「あんな親が育てた子がどういう人間になるのか興味がある」と言ったとき、「生粋の凶悪な殺人者でしょう」と言いました。これは15巻で月島過去編を見るとわかりますが、彼自身のことをも言っています。
あんな父親を持っているから、自分も凶悪だと?
そういうところが頑なにさせてるような気もしますね。対して、鯉登少尉の親子関係は良好なので、だから相容れないんだろうな、とも思う。
次回は野田先生出産のため休載です~
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