ゴールデンカムイ267話「断絶」【本誌ネタバレ感想】変わってしまったらもう愛せない?

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ゴールデンカムイ最新話267話を読みました。

今回はウイルクとキロランケの過去。

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キロランケの手紙


ゴールデンカムイ 24 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

キロランケが死ぬ前にソフィアに送った手紙。その中に、ウイルクとの決別の経緯が書かれていたようです。

北海道へ渡ったふたりは分かれて生活し、それぞれがアイヌの中で生きながら埋蔵金の情報を得るという計画でしたが、ウイルクが結婚し、子どもが生まれたことでふたりの進む道は少しずつずれ始めます。

キロランケ曰く、娘を抱くウイルクは今まで見たこともない優しい顔だったと。それをおもしろくない目で見るキロランケは、どうしてもソフィアの存在がちらついたんでしょうね。

それから前回説明された、ロシアから武器を買おうとしていたアイヌのひとりが見つかり、計画は進みます。ウイルクは6人のアイヌと情報を共有し、老人を探すことに。しかしその場にキロランケはいません。(うちひとりはどう見ても有古イポプテ父!!)

埋蔵金についての話し合いの場に自分が呼ばれなかったことでキロランケは激怒します。

しかも、ウイルクは極東ロシア・樺太・北海道をまとめてひとつの連邦とする計画をやめ、北海道のみを独立させる計画に変更すべきだと主張します。これで、アムール川流域地域出身のキロランケはさらに混乱。ウイルクは「希望者は移住すればいい」と言いますが、それで元の文化を守っていくことは困難ですよね。

このウイルクの意見の変化に、キロランケはロシアの少数民族はどうでもよくなって、北海道アイヌの娘の生きる未来を守りたいだけではないのか、と問います。

これにウイルクはただ、現実的な方法を選ぶだけだと答えるのでした。

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本音と建前

このウイルクの選択に、鶴見中尉は

「建前と本音の違いだけで どちらも嘘ではない」

野田サトル「ゴールデンカムイ」267話/集英社より

と言います。極東ロシアの少数民族の存続も、愛する家族の未来も、どちらも大事。

なるほど、この場合「どちらか一方を選び、もう一方を捨てる」という二者択一でしか考えられないキロランケは冷静さを欠いているように見えます。

キロランケが「裏切り」と断じるのは、ソフィアの存在もあるからでしょうけど。結局キロランケも、彼の中でのソフィアの存在が大きすぎて思考停止してしまっているような気がしますね。ソフィアが待っているから、そういう計画で進めてきたのだから、そうするのが正しい。それ以外の道はない。キロランケもまた、情のために自分ひとりではいられなくなった人なんでしょうね。愛する誰かを考慮せずに行動することはできなくなっている。

その点、ウイルクは愛する家族ができてややそちらに傾いているとはいえ、まだ合理的ですよ。本来の目的と、愛する家族。そのどちらをも守るには何が最善か。何をとって何を切り捨てなければならないか、しっかり合理的に考えている。

「建前」も「本音」も、鶴見中尉が言うように嘘ではないから。

これは鶴見中尉も、自分自身そう思って行動していることなんでしょうね。戦争で死んだ仲間と、失った家族。どちらも大陸に眠っていて、どちらも大事。これもしやドアの向こうで立ち聞きしてるの知ってわざと聞かせてるんでしょうか?

自分の胸の奥深くにしまっておきたい家族への愛すらソフィアにしゃべらせるための材料として使う鶴見中尉ですから……。

しかしまあ、ウイルクにしても鶴見中尉にしても、本音と建前に共通する目的があるからこそここまで行動できたという部分もあるんでしょうね。じゃなきゃ心折れるでしょう。むしろ守りたいものがふたつある分だけ成し遂げたい思いも強くなったんじゃないですか。

人間、一所だけにすべての情を傾けるなんて土台無理な話で、性愛もあれば友愛もあれば家族愛もあるし。そのいくつかを守るための目的が重なることもある。

その情の種類の違いを理解していて、そのすべてを自分の中に共存させてちゃんと成り立っていられるのがウイルクや鶴見中尉です。

キロランケはそうではなかった。

同じくらいの大きさの種類の違う情、迷ったらどちらかしか選べない人なんでしょう。どっちかを捨てるとまではいかなくても、優劣をつけてしまうとか。

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愛と憎しみは共存できない?

違う種類の愛情が共存できないのと同じで、ういるくはひとつの対象に抱く感情も好きか嫌いかのどちらかしか選べないのでは。

キロランケって、ソフィアに向ける想いもそうですが、馬への接し方を見ても情が深い人ですよね。だからその分、一度受け入れられないところを見つけてしまったら、深い愛が全部負の感情に塗り替えられてしまうんじゃないでしょうか。

だから、ウイルクと意見の違いで衝突し、ある一点が受け入れられなくなった時、「じゃあ捨ててしまおう」となるのです。

ウイルクは変わってしまった。衝突した自分を生かしたままで去ってしまった。昔のウイルクなら今後障害になる人間を生かしてはおかなかったはず。合理的なウイルクではなくなってしまった。これが「ウイルクを切り捨てる」と決めた理由です。

計画について意見が異なるだけで、キロランケが愛するウイルクだって彼の中に確実にあるのに、その一点だけですべてが許せなくなってしまったんですね。人を好きか嫌いかでしか判断できない。でも人ってね、愛と憎しみ相反する感情を抱くものなんだよ。白か黒か、善か悪か、わけられないことだってある。「ある作品が好きだけど、その中のとあるキャラクターの思想は好きじゃない」とかあるでしょう。「あの人はいいところもあるけど悪いところもある」とか。そういうもんです。誰しもアンビバレントな感情抱えて生きてるものでしょう。

それができないキロランケは子どもみたいに純粋なのか、ソフィアへの想いが強すぎるのか。まあこの時は愛と不信感とふたつの感情が生まれて混乱してしまったというのもあるでしょう。情が深すぎて、新しく生まれた感情まで吟味して自分の中に落とし込んでうまく共存させるのが難しかったのか。

でもキロランケもこの後家族をもって、その一端くらいはわかったんじゃないかな……どうでしょう。

こうしてキロランケは、ウイルクを殺すことをこの時決めたのでしょう。

でも、合理的じゃなくなったって言うけど、合理的なままだと思いますけどね。ウイルクは。北海道は四方を海に囲まれた島ですから、敵が攻めてくるとしても海からで、防衛しやすい。極東ロシアは大陸と地続きなので、なかなか守り切るのは難しい。全部を取ろうとして守りが薄くなるよりも、北海道ひとつを守るほうが合理的なのは間違いないですからね。それでその他の地域は移民で対応するとして、文化が失われてしまうというデメリットはしょうがない。狼のウイルクならまあそう考えるよね、という。ウイルクにとっても故郷を失うことになるわけで、辛くないわけはないんですけども。

これはまた、アシリパさんの「アイヌ」か「杉元」かにつながりそうな感じ。

今回こんな話してる最中も杉元と白石は慣性の法則で飛び続けてるのかな……。

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