ゴールデンカムイ最新話268話を読みました。
今回はまた視点が変わり、金塊をめぐるアイヌ殺人事件の話です。
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ウイルクとキロランケの最後の会話
ゴールデンカムイ 24 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
キロランケをぼっこぼこにした後、ウイルクは立ち去る前にアシリパさんにどういう道を歩んでほしいか語っていたようです。幸せを願っているけど、誰かの陰で守られるのではなく、自分で幸せを掴む人になってほしい、ソフィアのような人になってほしいと。
ソフィアを忘れてはいないということでもあると思いますが、ソフィアと出会ってなかったとしてもウイルクは自分の子どもを同じように育てたと思いますね。だって自分こそ先頭に立ってきた人だし。
アシリパさんももちろん、ひとりだけ幸せになればいいなんて思っていません。放っておいたら簡単に消えてしまいそうなアイヌの行く末を思っていて、アイヌのためなら先頭に立つ覚悟もある。
団結の難しさ
ここからは鶴見中尉が語るアイヌと金塊の話です。
ウイルクは前回登場したアイヌたちと金塊のありかを知る老人を探していて、そのころ鶴見中尉も同じように情報を探っていました。そもそもの情報の出どころは、前回ウイルクたちの仲間として登場していた有古父・シロマクル(ルは小文字)です。話によると、イポプテと一緒に八甲田山の遭難事件で活躍したそうです。
シロマクルはあのままウイルクたちと行動を共にしたのかと思いきや、老人から情報を聞きだす過程で脅す連中が出てきて、やり方が気に入らなくて離れたという。
驚くことに、金塊のありかを知る老人というのがどうもチカパシの祖父のようで。老人は孫(チカパシ)と弟に危害を加えると脅されたのだと。「天涯孤独」のチカパシにはそんな背景があったんですね……。こんなことを知らず、樺太に留まって本当によかった。ある意味アシリパさんは仇の娘では……。
シロマクルが言うには、自分を除く6人はくせもの揃いで関係が浅く、同じ方向を向いてやっていくのも一苦労な感じ。「和人への過激な思想」というたったひとつの共通点だけでなんとか均衡を保っているようです。そして、彼らをうまくまとめているのがウイルクだと。
彼らは同じアイヌと言えど住む地域も違えば文化もちょっとずつ違いますから、誰かが土を食べれば「土食ってるwww」と馬鹿にするやつも出る。それをうまくいなすのがウイルクです。あっちこっち行って博識ですからね。私も珪藻土が食べれるって初めて知りましたよ。今目の前にある珪藻土コースターじっと見つめてしまう……。
さて、その一目置かれるアイヌについて、シロマクルが「ウイルク」という名で「青い目」をして「顔に傷」があると言ったもんだから、鶴見中尉はすぐ気づきます。あいつだと。
「やっぱりまた私の人生に関わってきたか」
野田サトル「ゴールデンカムイ」268話/集英社より
そりゃ向こうも同じ気持ちでしょうけどね。言っとくがあの写真館での騒動の半分はアンタが悪いよ。
同じものを求める相手がウイルクだと知って、どういうつもりなのか、鶴見中尉は「一本の毒矢」を放ちました。みんなが一目置いてるその男、ロシアの革命運動資金のためにアイヌの金塊探しに来たけど、みんな知ってるの?と。
これに力松父は焦ります。価値観の違いで別れたようなことを言っていましたが、金塊のありかはちゃんと聞いていて、仲間にこのことを伝えに行ったのです。これが悲劇の始まり。
中尉の袖よ
ところで、本筋とは関係なく気になったのですが、中尉の袖がジャギジャギなのはこれはオトノシン誘拐事件劇場の後なのか……?と思ってファンブックの年表を開いてみました。すると、誘拐事件もアイヌ殺人事件もどっちも1902年のことでしたが、アイヌ殺害の方が年表は先になっています。
これはどっちなんだ……。この時期たまたま中尉はこういうスタイルがお気に入りだったんでしょうか。フレディ・マーキュリーにドハマりした時期だったのか。
あちらのお供は菊田・月島・尾形でしたが、こちらは菊田・宇佐美です。これだけ右腕っぽい位置にいて、菊田さんはいったいどの段階で中央に?というのが気になるところでもある。
内側から壊れる
金塊を求めたアイヌたちはいったいどういう目的でいたのか確かなことはわかりませんが、「和人に対する過激な思想」で団結していたということは、大筋としては侵略者からアイヌを守るために行動していたのでしょう。それなのに、鶴見中尉が放ったたった一本の毒矢で壊れてしまうのです。
ウイルクをめぐって、彼をかばう者とそうでない者が対立し、殺し合いになった。組織の要であった張本人のウイルクの信頼が揺らいでしまったことで、外敵からアイヌを守ろうと団結したはずの彼らはいとも容易く内側から崩壊してしまったのです。皮肉なものですよね。
鶴見中尉のせいですけども、こう脆くては遅かれ早かれ仲間割れするような気もします。
のっぺら坊へ
殺し合いにウイルクは関与していなかったようで、ウイルクがアイヌの仲間全員を殺して金塊を独り占め、というのは誤りだったことがわかりました。とはいえまったくの無関係とは言えませんが。
今回驚いたのが、自分の過去を知る人間から逃れるためにウイルクが自分で頭部の皮を剥いだということ。
自分で皮を剥いで、死体の生首にかぶせて自分をも死んだことにしたというのです。しかし偽装だというのはすぐばれてしまいますから、単なる時間稼ぎだったのでしょうか。
「ウイルク」「狼」「皮」ときてなんとなく思い出すのが、『火の鳥』の「太陽編」のハリマですね。戦に敗れ、生きたまま顔の皮を剥がされて狼の皮をかぶせられ、そのまま顔だけ狼の男として生きていくという。白村江の戦いのころの話で、彼は百済最後の王の子・扶余豊璋の一族。それが倭国に渡ってその地の狗族の娘とちょっと恋仲になりつつ(最後は結ばれなかったと記憶してますが)……という話。なんとなくウイルクと重なって見えるのは偶然でしょうか。民族存続の戦いに敗れ、異国に渡って活路を見出すという。
そのまま「狼」であったウイルクは、皮を脱いで何者になったのでしょう。
しかし今回の一連の話、すべて中尉の言葉で語られた過去なので何ともいえないんですよね。どこまでが本当のことで、何が嘘なのか。よくわからない。
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