映画『劇場版 コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救命』レビューと考察|シリーズのファンなら観るべき映画!

コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 劇場版 映画 エンタメ
引用元:東宝オフィシャルサイト
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『劇場版 コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救命』を観てきたので、その感想をまとめました。大画面で観るコード・ブルーは迫力があった。

そして大画面で見る山Pはお顔がつんつるりん……本当に30代男性なのか疑わしいほどでした。

公開そうそう待ちきれずに観に行ってしまいましたが、興行収入も上々。どうやら8月17日から4DX上映もはじまるそうです。

私も10年追い続けてきた「コード・ブルー」ファンなのでまた4DXにつられて観に行ってしまうかもしれません……。

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あらすじ

season3から3か月、藍沢はトロントへ、緋山は周産期医療センターへ……。救命の仲間は別れのときを迎えていた。

そんななか、成田空港で乱気流による事故が発生したとの一報が入る。白石たちはヘリで現場へ向かうが、負傷者たちはすでにトリアージを受けていた。ちょうどトロントから戻ってきた藍沢が空港におり、トリアージと手当を指揮していたのだ。

その事故で負傷した患者のなかに、富澤未知というひとりの女性がいた。怪我自体は大したことはないが、彼女はスキルス性胃がんに冒され、余命わずかの身であった。

未知は、藤川との結婚式をひかえた看護師の冴島につらくあたるが、それには理由があった。彼女もまた結婚する予定だったが、病気のために破談になっていたのだ。

しかし、未知の入院を知った元婚約者の岩田は彼女に会いに訪れ、「やっぱり結婚しよう、最期まで一緒にいよう」と伝える。

未知は拒むが、今結婚を控えて幸せの絶頂に見える冴島も実は過去に大切な恋人を病気で亡くしているということを知り、「想いをきちんと伝え、受け入れることは決して恋人を不幸にしない」と気付かされるのだった。

一度はキャンセルとなった未知と岩田の結婚。一か月後に式場を予約するが、未知の病状はもうそこまでもたないところまできていた。そこで冴島は、自分と藤川が予約していた日程を彼女らにゆずる。

無事に迎えた結婚の日。未知は真っ白なウエディングドレスを着て式に臨むが、途中で吐血し病院に運ばれる。

時を同じくして、海ほたるにて大規模な事故が発生する――。

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キャスト

藍沢耕作 – 山下智久

白石恵 – 新垣結衣

緋山美帆子 – 戸田恵梨香

冴島はるか – 比嘉愛未

藤川一男 – 浅利陽介

橘啓輔 – 椎名桔平

新海広紀 – 安藤政信

西条章 – 杉本哲太

名取颯真 – 有岡大貴

灰谷俊平 – 成田凌

横峯あかり – 新木優子

雪村双葉 – 馬場ふみか

富澤未知 – 山谷花純

岩田彰生- 新田真剣佑

雪村沙代 – かたせ梨乃

杉原剛志 – 平埜生成

緒方博嗣 – 丸山智己

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感想

スケールは大きいけどいつもの「コード・ブルー」

成田空港、そして海ほたるでの事故という、大規模な災害を2つも描く劇場版。テレビサイズよりも画面は大きく、もちろん予算もかかっているのでスケールも大きくなっています。

でも、内容や描き方はいつもどおりの「コード・ブルー」だなあという印象でした。

私は10年間の「コード・ブルー」ファンなので、この作品にはめっぽう弱い。テレビドラマ版のころから1話に一度は泣かされてきましたが(再放送で何度も観ても泣く)、劇場版は後半に入ると多分10分に一度は泣いてた

この作品は、医療ドラマにしては珍しく、医者の腕・カリスマ性よりも、現実の医者が直面する絶望やままならなさ、患者との交流をこれでもかというほどにていねいに描く作品です。

もちろんseason1の黒田先生、成長した藍沢みたいな腕のいい医者が登場しているのは確かですが、医者って万能じゃないよ、優れた医者だって心を持った医者だよ、ということを冷静に、残酷に表現してきましたよね。

season1では、白石の判断ミスによって黒田先生の腕を切り落とさなければならなくなった。このとき、黒田先生は外科医としての命を奪われた絶望・怒り・辛さを教え子である白石に隠さなかった。

このときからこのドラマはきれいごとをいう作品じゃないな、と感じていましたが、10年たって劇場版になってもその精神は続いているなあとつくづく感じます。

5人の関係性の変化

season3が始まったときも思いましたが、主人公5人の関係性がかなりやわらかくなったなあと感じます。

season2が始まったときも、病院内以外でのやりとりが描写されて「なんか仲良くなったな~」と思ってましたが、やっぱり10年経つとその比ではないくらい結束力が感じられる。

劇場版公開に向けて地上波でseason1から3の再放送をやっていたので7月中はそれをよく観ていたんですが、今改めて過去作を観てみると随分変わったなあとしみじみ思います。

劇場版では、成田空港の事故で藍沢がいい感じに登場するんですが、藍沢がいることを知った緋山が

あいつが重傷者呼び寄せてるんじゃないの(ちょっとうろ覚え)」

みたいなことを言うんで、笑っちゃいました。コナン君かよ。

season2から3の間にお互いライバルというトゲトゲした感じがなくなり、白石がおもしろ担当になったりして大分角がとれました。

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「親子の絆」は幸せなものばかりじゃない

あらすじには書いていませんが(いろんなエピソードが交差しているのでまとめきれませんでした…)、劇場版の重要なエピソードのひとつとして雪村と彼女の母が登場します。

新人のフライトナースである雪村は、いわゆるネグレクトの家庭で生まれ育ち、親から愛情を受けた記憶がない。母親はアル中で騒ぎばかり起こし、雪村はそんな母から逃げるようにしてナースになったんですね。

そんなところに、突然頭を負傷した母親が運ばれてくる。今まで嫌々ながら世話してきた姉に押しつけられるようにして、雪村は避けてきた母親と向き合わなければならなくなった。

このかたせ梨乃さん演じる雪村の母の登場シーン、とんでもなかったです。ギャグかよと思うほどで、さすがかたせ梨乃という感じ。実際に観て確認してみてください。

どうしようもない性格で、病院内も好き放題に徘徊しては雪村を困らせるわけです。娘はそんな母に恐怖すら抱いている。

で、追いつめられた雪村は藍沢に言ってしまうんですよ。

「医学部に入れてもらって、医者になれる環境に育った藍沢先生には私の気持ちなんかわかるわけない」

って。

これいちばん言っちゃいけない相手ですよ。

season1から観てきた人はみんな知ってることですが、藍沢は子どもを望まぬ両親の元に生まれ、捨てられた子です。

両親にとって自分は邪魔な存在だったことを知っているし、育ててくれた祖母が入院して介護が必要な状況になったとき、今度は彼自信が世話になった祖母を邪魔に感じている自分に気づく。そんな経験をした人に、ねえ。

この「肉親の絆」、藍沢に関してはseason2で終わった話ですが、ここで雪村のエピソードを描くことでシリーズを通じたひとつのテーマとしてよみがえりました。

さらに加わったのが、海ほたるでの事故。ある親子が登場します。

前のトラックの積み荷が崩れ、鉄柱に胸を串刺しにされた父と、それを呆然と眺める息子。

この息子は幼少期に児童相談所に逃げ込んで大人になった人物です。「父親はどうしようもない人間だ」といいつつ、そんな父から生まれた自分が家族をもって幸せに生きていることを伝えたい、だから生きてほしいと願う。

現場でこの患者をみることになるのが藍沢・白石・雪村なんですが、ここでまた「親子の絆」は尊いものか?絶対に守るべきものか?という疑問が投げかけられるんです。

子どもは親を選べない。駄目な親の元に生まれたら、逃げるしかない。

現場に立ち尽くす患者の息子に、藍沢は「逃げた君は勇敢だった」と言う。雪村にも響く言葉だったでしょうね。

こんな感じで、ひとつのテーマにいろんなエピソードが絡み合う。毎度のことながら「コード・ブルー」の話の構成のうまさには泣かされます……。

絶対的存在の危機

コード・ブルー 劇場版 藍沢

最大級のネタバレですが、海ほたるの現場で藍沢が意識不明になります。フェリー内で雪村をかばい、階段から落ちて感電して倒れる。

藍沢ってシリーズ通じて絶対的な存在だったじゃないですか。腕さえ磨ければ何でもいいみたいな傲慢なところはあったけど、10年たって大分人間性も変わってきた。

なにより圧倒的に腕がいい医者だったわけです。

劇場版でも最初の成田空港の事故では神々しい登場でしたよ。見たまんま言いますが、確かに後光がさしてた。

そんな藍沢が死の淵をさまよう状況って、ちょっとかなり絶望的ですよね。いちばんショックを受けてうろたえるのが白石なんですけど、ここからのシーンは私5分おきに泣いてました。

藍沢の欠場から藤川・冴島の結婚式にかけて、怒涛の展開ですけど、これだけでも多分1本の映画になったんじゃないかと思う。

映画の後半はやっぱり主人公5人の絆の物語でした。

エンドロールは必見ですよ!

パンフレットはシリーズファンなら買うべき

映画のパンフレットってどういう基準で買ってますか?

私は邦画のパンフってあまり買わないんです(とくにテレビ局制作の劇場版とか駄作が多いから…)。

それでこの作品のパンフレットもどうするか直前まで悩んだんですが、映画を観て「よっしゃ買おう!!!!」と思った。

結論、買ってよかったです。

内容は主役5人の多めのインタビューや、season1からのプロデューサー、監督、医療監修のインタビュー。

とくに制作スタッフのインタビューは読みごたえがありました。ドラマを観ていても「本物の医者を描こうとしてる」とわかるけど、制作がそこにかける思いってこれほどだったんだ……と知ることができてよかったです。

なんで「コード・ブルー」ってこんなに面白いんだろうと常々思ってたけど、なるほど、最初からこういう意図があって作られてたんだな~と。

あとは病院内セットの紹介や、5人の対談など。

ドラマ版と劇場版の写真の寄せ集め、みたいな内容ではないので、買って損はないと思います。

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まとめ

以上、『劇場版 コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救命』の感想とちょっとした考察でした。

巷では「つまらん」と言われたりしているようですね。まあ、これを「コード・ブルー」の新作と捉えるとちょっと消化不良かもしれない。

でもこの劇場版ってファンサービスの一環で作られたようなところがあると思うんですよ。例えるなら乙女ゲームのファンディスク。

本編は終わったけど物足りない!!!行き場のない感情を昇華するためのものなんですよ(私はそう思う)。

だから、いろんなエピソードが急ぎ足で次々始まってナニコレ?と思うかもしれないけど、ファンディスクと思えば最後のウエディングまで幸せな気持ちで観てられます。

4DX上映するなら多分もう一回観ると思います。

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