【映画レビュー】劇場版アニメーション『はいからさんが通る』前後編|構成がうまい前編と駆け足の後編

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© 大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会
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今年の3月に前編、秋に後編が公開された『はいからさんが通る』。後編を劇場で観てきました。前編はBS11で放送していましたね。それでチェックした方もいるかも。

前編がよかったから後編も、と思って劇場に足を運んだ方もいるんじゃないかと思うのですが、Twitterなんかでチェックしてみた限り、評価は前編のほうが高い印象でした。

実際、後編を観た私の感想もそんな感じです。後編の何がいけないというわけではないのですが……。

そのへん含め、前後編とまとめて語りたいと思います。

 

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ラストまでの映像化は初

© 大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

今回の劇場版の何がすごいかって、いままでのアニメや実写版でやらなかったラストまでをしっかり映像化していることですよね。

私は過去の映像作品を観たことがないので、どう違うのかを説明することはできないんですが、映画前後編であの原作の内容を最後までまとめるってちょっとすごい。

今までのファンが待ち望んでいた映像化だと思うのですが、逆にそれが後編が微妙だった理由だったのかもなあ……と思ったり。

前編はしっかり描き切るも……

前編の内容は、紅緒と少尉の出会いから少尉の死(生きてますが)を経て、紅緒が傾きかけた伊集院家を支えるために雑誌記者として働く、そして少尉が生きているかもという希望を胸に満洲へ旅立つところまでが描かれます。

こう説明するとなかなかハードに駆け足だなあと感じるかもしれませんが、体感としてはわりとゆっくり。

原作をちょいちょい端折りながらも忠実に展開していて、紅緒が少尉に惹かれていく様子がていねいに描かれてるんですよ。これってかなり重要なこと。いろんなことが矢継ぎ早に起こっているようで、その渦中の紅緒の感情の変化はゆっくり。

紅緒が本当の意味で少尉を好きになるのって、意外と遅いんですよ。それこそ少尉がシベリアに飛ばされる直前くらい。最初なんて結婚するのが嫌だからって別に好きでもない蘭丸と駆け落ち未遂するくらいですからね。伊集院家で一緒に暮らすうち、だんだんと惹かれていったのは確かですが、ゆっくりゆっくり惹かれていって燃え上がるのは別れのタイミング。

それで、会えない時間のおかげで紅緒はどうしようもなく焦がれるわけです。大昔からある「待つ女」の典型的なパターンですね。平安和歌の題にもよくあるように「逢わぬ恋」とか「逢ひて逢わぬ恋」みたいに、隔たりこそ愛をはぐくむというやつです。

この紅緒の内面の描き方がうまくて、前編は多くの人が満足できたんじゃないでしょうか。

 

で、後編はどうかというと、やたら展開が速い感じがしました。原作でも後半にあたる内容のほうが多いので、それをぎゅっと詰め込むとなると致し方ないのかもしれません。

 

後半で気になるのは紅緒の感情より、少尉や編集長の感情ですね。

記憶を取り戻してからの葛藤とか特に。原作の場合注意深く見てないとどのタイミングで記憶を取り戻したのかわからないぐらいなんですが、紅緒には知られまいと苦悩する様子がとても切ない。

編集長に関しては、当て馬ポジションなのでしょうがないといえばしょうがない。しかしそれにしてもないがしろにされた気がしてならない。映画だけ観てると、「あんたいつ紅緒のことそんな好きになったの?」と思う。

少尉との恋とは違って、編集長との恋はコメディちっくですよね。原作では紅緒が投獄されたりして、実はもっと長いんです。そこで少尉と火花を散らし合ったりするんですが、映画では省略されたエピソードもあってやや消化不良でした。

まあ、映画を観た後原作を確認してみたら、編集長ってわりと突然感情に気づいてふとした瞬間ポロっと好きだと言っちゃう人でした。突然だと感じるのはこの人の性格のせいなのかも。

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作画について

Twitterで評価をたどってみると、後編は作画が残念だったという人が多かったです。それをチェックしてから観に行ったので、作画を気にしながら観てみたんですが、そう言われればそうかも?という感じ。

確かに前編は力入ってるなーと思いますが、後編は作画崩壊というほどではないです。前編とはちょっと違う印象もあったので、その差が気になる人は気になるかもしれません。

 

主題歌

前後編で主題歌も違います。どちらも紅緒役の早見沙織さんが歌っている曲で、なんと作詞作曲は竹内まりや。

前編の「夢の果てまで」がたまらなく好きでした。昭和っぽく、劇的なんです。後編に向けて満洲に旅立っていく紅緒のイメージぴったりで。

 

絵柄は原作と全然違って最近のアニメらしく仕上げた分、この主題歌で昭和っぽさを感じられました。私は平成生まれですが、ノスタルジーにひたれる曲です……。

 

まとめ

子どものころ親の影響で読んだっきりで、内容もちょっと忘れていた『はいからさんが通る』。改めて大人になって観ると、自分を形成したものの一端はこれだったのかと気づきます。

劇場版を観たことではいからさん熱が高まり、原作も読み直しました。そこで初めて少尉が紅緒の4歳年上だと知りました。意外と若かった……。

あと子どものころは気にも留めていなかったんですが、紅緒と少尉の子どもの名前が「秋星(しゅうせい)」なんですよね。編集長の名前は「青江冬星」。身を引いてくれたことに気を遣って……?謎です。

今回の劇場版は旧アニメ版からキャストは一新されて、主要キャストは人気声優で固められてますが、最後のナレーションだけ旧アニメ版の紅緒役だった声優さんが登場します。新しい層を呼び込みつつ、昔からのファンにもうれしいサプライズだったようです。

 

原作はFODプレミアムなら全巻20%還元で読めるようです。

 

 

 

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