GW明け、二週間ぶりのゴールデンカムイ。198話を読みました。
今回は鯉登少尉の過去回です。鯉登家の兄弟と親子を明らかにしたうえで、ふたたび鯉登VS尾形の場面にもどるのでしょう。
というわけであと二週間くらいは過去回なんじゃないかな……。
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前回の感想はこちら↓
兄の代わりではなく
今回、扉のアオリ文が「君の欲しい言葉を僕は知ってる。」なんですよね。鶴見中尉、そりゃあなたは誰の欲しい言葉も知ってるでしょうよ。
鶴見中尉は鯉登少年の話を聞き、いなくなった兄の穴を君が埋める必要はないと言います。でも、会ったばかりの男の言葉にすがれるわけもなく。
音之進の兄の名は平之丞(へいのじょう)。鯉登父の名は平二ですから、やはり長男だけあって父の名から一字もらっている。それだけ期待するものも大きかったでしょう。
しかし、平之丞は日清戦争で艦が砲撃された際に亡くなってしまいます。父は、息子が乗る艦が大破する様子をじっと見ていたという。
それ以来笑いも怒りもしない父。兄のことを思うと長時間船に乗ることができず、海軍将校になれない落ちこぼれだと自嘲する音之進。
こういう状況から、鯉登親子は亡くなった兄を間に置いて、どうしようもない隔たりができてしまっていることがわかります。何者もそこを埋めようがない。
おそらく鶴見中尉はこのとき聞いた音之進の話から、彼を「兄の代わり」という呪縛から解放してやろうと計画を立てます(たらしこんでやろう、という匂いがプンプンします)。
しかし、「ありがとう また会おう」という鶴見中尉に、「うふふ…また会えますかねえ?」とやわらかな笑みで返す音之進くん、お上品……子どものころから「うふふ」って笑ってるんだね……お坊ちゃんだ。
誘拐された音之進
父の仕事の都合で函館に移り住んだ音之進。あいも変わらず父からもらった三輪車でブイブイいわせていて、ここでも道行くひとに「ボンボンが」といわれる(笑)
いままでの話では鯉登少尉ってめちゃくちゃ優秀な成績だったみたいな感じで描かれていましたが、16歳時点では問題児だったみたいです。海軍兵学校受験前で、「あの様子じゃ落ちるんじゃないか」とまで噂されています。
きっと鶴見中尉に篭絡されてから奮起するんでしょうね。
ロシア語をしゃべる男たちに連れ去れられる
そんな噂をされているところで、突如現れた覆面男たちに連れ去られる音之進くん。
鯉登邸では対策会議が開かれます。
と、ここで鯉登母・ユキさんが初登場!鯉登の眉毛は母ゆずりでした!!!うりざね顔のきれいな人です。
海軍にはロシア語を話せる者がいないということで、陸軍から招へいされたのが鶴見中尉です。ここから鶴見中尉の主導で音之進奪還のための対応策が練られます。
誘拐犯は何者か
ところで誘拐犯ってロシア兵なの?という疑問がわきますが、たぶんこれ鶴見中尉の配下ですよね……。
ロシア人ならなぜ顔を隠す必要があるのか。手ずから水を飲ませて、月寒あんぱん食べさせたりして、けっこう待遇はいいんですよ。手は縛られてるけど。
今まで登場した中でロシア語が話せるっていうと月島軍曹と尾形ですが、可能性としては月島軍曹かな?そもそも尾形がどの段階でロシア語を習得したのか、まだ謎ですから。
でも犯人は複数いるし、もしかしたら尾形もいたのかも?
関係ないけど、あんぱん差し出した手の爪がきっちり手入れされてて、清潔な人なんだね~と思いました。軍に入るとみんなそうなんですかね?
息子か国か
鯉登なりに、誘拐されたのは鯉登平二の息子だからだとは気づいています。日本とロシアとの関係できな臭さは感じ取っている。
その上で、父は自分のためにロシアの言いなりになることは絶対ないと断言します。
その発言どおり、父は「音之進には死んでもらうしかなか」と覚悟を決めていました。もし犯人たちの要求が日本軍に不利な条件だったとして、それに従えば敵が攻め込んでくるきっかけを与えることになる。息子が助かっても、戦争になれば何百万という国民が犠牲になる。それなら息子には死んでもらうしかない。
このときはまだ中佐とはいえ、人の上に立つ者として覚悟を決めているのがわかります。こういうところ、なんだか乃木希典を思い出しますね。
乃木大将は日露戦争で二人の息子を亡くしていて、ほかに子はいなかったにもかかわらず養子はとらなかったそう。日露戦争の責任は自分にあるといってできるかぎり戦死者の家族のもとに赴て謝罪してまわった、という話は有名です。
たった二人の息子。二人目を失ったとき、「これで世間に申し訳が立つ」と言ったとか。
鯉登父にも似たものを感じます。鶴見中尉はこの親子をどうするんでしょうか。多分この誘拐事件でわだかまりが解けるとか、「兄の代わり」の呪縛から解き放たれるとか、ある部分は変化するんでしょうね。でもこの感じを見ると根っこの部分は変わらなそう……。当時の考え方としてそれが普通だっただろうし。
ただ、佐官としての建前と父としての本音を音之進が知ることができるかどうかってとこじゃないでしょうか。
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