ゴールデンカムイ229話「完璧な母」【本誌ネタバレ感想】母にあこがれた家永

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ゴールデンカムイ最新話229話を読みました。

前回は1回完結の杉元喜怒哀楽劇場。

今回はあのジャックザリッパー的事件に戻るかと思いましたが、いよいよ臨月に差し掛かったインカラマッから始まります。

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前回の感想はこちら↓

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自分にとっての最善を選ぶ谷垣

谷垣の帰りが遅れていたのは、別に鶴見中尉のせいとかではなく、ドラマチックな旅路のせいだったことが判明。そこは割愛されています。

谷垣は鶴見中尉の命令について思案します。谷垣は谷垣一等卒ではなくマタギに戻ることを決意した立場ですし、そもそも杉元を殺してしまえるほど無情な人間ではありません。情云々はともかく、それを超えてしまうほどの志があるならまた別だったのかもしれませんが、谷垣にはそれもない。

ひとつ当てはまるならばインカラマッとこれから生まれてくる子がそれにあたるのかもしれません。杉元とアシリパさん(そしてフチ)を切り捨てることは簡単ですが、困難であっても回避できる道があるならそっちを選ぶ男です。

谷垣は難しいほうの道を選びました。

家永でも作り出せない“母”というもの

インカラマッのお腹はいつ生まれてもおかしくないくらい大きくなりました。9か月くらいだそう。

病院は移りましたが、主治医である家永が定期的に診ているようです。

家永はインカラマッの膨らんだおなかを見て、「あなたを食べても私には作り出せない」と言います。同物同治で美しい容姿や声を手に入れても、家永は「母」にはなれないのです。

家永はインカラマッを見ていると母を思い出すのだ、と言います。なぜ家永は同物同治を繰り返し、今の姿になったのか。家永は母を追い求めていたのでした。

母は妊娠しておなかが膨らんでいても完璧であり、生まれてくる赤子を抱いた姿はきっと聖母のような完璧なものになるのだろうと思っていた、と。

しかし母は階段で足を滑らせて流産してしまいました。その後母がどうなったのかは語られませんでしたが、家永の思う「完璧な母」を見ることはかなわなかったわけです。

だからか、家永は母にならんとするインカラマッに寄り添います。出産を手伝いたいと。インカラマッも「あなたは命の恩人だから」と承諾。「じゃあ胎盤はちょうだいね!!」という家永はやっぱり家永(笑)動物は栄養を摂るために出産後胎盤を食べますね。人も同じで、胎盤食は少ないながらあります。芸能人でも確か食べた、という人がいました。昔は産後の肥立ちが悪くて亡くなってしまう人もいましたが、現代では出産前後の滋養は十分摂れますし、感染症なんかのリスクもあって推奨はされないと聞いたことがありますが。

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再会

夜。インカラマッの病室を訪れる人がいました。谷垣です。何か月ぶりかはわかりませんが、網走監獄での事件以来の再会です。

谷垣はインカラマッが以前滞在していた網走の病院(樺太に出発する前にけが人全員がいたと思しき病院)を覗き、インカラマッの現在地を探り出したのです。

谷垣だけの力では多分見つけ出せなかったでしょうが、先を見越したインカラマッの機転のおかげでたどり着けました。

インカラマッは、網走病院に通っていた地元民に、現在地を知らせる絵葉書を送っていたのです。それを、「スケベ熊ちゃんが来たら渡すように」と頼んだのでした。

網走の地元民の女性はインカラマッがあげたであろうイケマの根をかじりながら、こそこそと病院をのぞく谷垣を見て「スケベが来た」と言い放ちます。スケベじゃない、マタギだよ。

「スケベ熊ちゃんが来たら」と言われていたのだから女性の言は正しいんですが(笑)スケベマタギに違いはないですし。

こうして小樽の病院で再会できた谷垣とインカラマッ。谷垣はアシリパさんをフチのもとへ帰す目的は失敗したので、役に立たない自分はもう逃げるしかないといいます。逃げるしかないけど、せめてインカラマッとおなかの子と一緒にいたかったのだと。

さあ、見張りの月島軍曹が風呂に行っている今が逃げ時だ!!!(※軍曹の風呂は長い)

母を追い求めた家永と、愛する人と死に別れた月島軍曹

軍曹の風呂は長いって嘘だったんですかね?

谷垣の来訪を見越していたかのように夜中に軍靴の音が響き、ドアの前で止まります。ドアを蹴破って現れたのは風呂に行っているはずの月島軍曹。

軍曹VS一等卒じゃ、戦闘力の差はお察し……

いや、単純な力は谷垣のほうがデカいし若いしあるんでしょうけど、月島軍曹は生来の悪ガキだし、軍曹だし。

鶴見中尉の約束を反故にしようという谷垣に対し、月島軍曹は容赦ない。目が怖い。いご草ちゃんの件をいろいろ悟ったときの目だ……。

銃を向ける軍曹の前に出たのは身重のインカラマッです。いつだったか占った軍曹の「凶」とは、こういうことだったんでしょうか。それが月島ニシパの正義なら私から殺せというインカラマッ。谷垣をここへ導いたときから覚悟はできていたんでしょうね。

このまま誰も止めに入らなければ、軍曹はやっていたでしょう。鶴見劇場をかぶりつきで見ることを唯一の生きがいとする男ですからね。

しかし邪魔が入りました。家永です。家永は注射器を軍曹の首筋に刺し、一瞬間ができたところでふたりに逃げるよう言います。家永ーーーーーー!!一生ついていく!

ですが、やっぱり軍曹は強い。一瞬隙ができはしたものの、すぐに振り返って家永の胸を撃ち抜きました(二発撃たれている気がする)。

これはだめなやつ……。

母を追い求めた家永は、母になるインカラマッを守り抜きました。一方、過去に一緒に逃げたいと思うほど愛する人がいた月島軍曹は、過去の自分と同じように愛する人と生きるため逃げようとする二人を阻んだ。

家永と軍曹。行動の原動力となるほど心の中にずっとある存在との向き合い方が正反対でした。家永は心に正直でしたね。月島軍曹はいったいどこへ向かうんだ。このまま鶴見劇場砂かぶり席に体育座りしてていいはずないでしょう。そこから動かせるのは鯉登少尉しかいないと思うのですが……。

家永、死んでほしくないなぁ。杉元ののうみそつまみ食いしたんだから、不死身成分がわずかばかり……ないか。

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