ゴールデンカムイ最新話259話を読みました。
今回はボウタロの過去回想。つい先日ブラタモリで網走刑務所の回を見たばかりだったのですごいタイムリーだなあと思いました。
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前回の感想はこちら↓
王になりたいわけ
ゴールデンカムイ 23 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
ウエジの過去回に地続きの時系列で、叔母が来てると騙した話の直後みたいですね。ぶちぎれたボウタロサンはウエジをボコボコにして懲罰房送り。
大家族が自分ひとりを残して病死してしまった房太郎は、会ったこともない「叔母」の存在すら希望に思えたでしょうね。それが冗談で済まされたら怒りますよ。
でも、大家族を失った寂しさから王になって大家族を作りたいという夢は、はたから見れば行きすぎな感じがします。「誰かに自分の存在を覚えていてほしい」「語り継いでほしい」それだけなら王になる必要はなく、大家族だけ作ればいいんじゃないの?と思う。
それでも房太郎の夢が国を作るほど壮大なものになったのは、孤独がそれだけ大きかったってことなんでしょうか。自分の国を作るとは「故郷を作る」ということだ、と房太郎は言っていますが、「帰る場所」の比喩でもなくそれが「国」になっちゃうのが、なんでなのか。
事実、今まさに国、故郷が失われようとしているアシリパさんと並べて語るためか。
房太郎はアシリパさんに、
「金塊なんて忘れて故郷で杉元と家族になっちまえ」
野田サトル「ゴールデンカムイ」259話/集英社より
とささやきますが、それ言ってることとやってること矛盾してないか?
自分は国を作ってそこで大家族を作りたいと言ってるくせに、アシリパさんには「故郷」を守るために必要な金塊を捨てさせ、ありもしない「故郷」で杉元と「家族」になれと言う。人の故郷を奪って踏み台にしてまで、自分の故郷を作りたいの?
案の定、アシリパさんに
「金塊が奪われたら私たちはどうやって故郷を守ればいい?」
野田サトル「ゴールデンカムイ」259話/集英社より
と問われて、答えることができない。おかしいこと言ってるってわかってるでしょう。
白石の帰る場所
回想では、白石も房太郎と同じく家族がいないことが明かされます。寺に捨てられ、寺を逃げ出してからはずっとひとりだと。房太郎は、お前も帰る故郷がないなら作ったらいい、と言っていましたが、白石にはもう帰る故郷ができましたよね。
杉元と約束して、樺太で最後までアシリパさんのそばにいた白石は、もうあの時点で杉元、アシリパさんとは切っても切れない絆ができた。
今回もひとり残された杉元は白石が助けに行ったので安心ですね。流氷から白石を引き上げたのは杉元。火事場で杉元を救うのは白石。
またアシリパさんを奪われた杉元は自分を「役立たず」だと言うけれど、この人は自分を役立たずだと思ってる間は死んでも死にきれない人ですよね。あの父の死の回想から、本当に自己肯定感が低い。役に立たないと思いながらもいつも誰かの役に立ちたいと思いながら生きている。「役目」に囚われてる杉元はそれが果たされてしまえば安心して死んじゃいそうなほど儚い。不死身のくせに。
その対極にあるのが役目なんてないんだとばかりに飄々としてる尾形ですが、自分の役割を強く意識してなかったであろうところは白石も近かったんじゃないかなと思っていて。そんな白石に初めて与えられた「役目」がアシリパさんを守ることだったのかなあと思います。
白石も一緒に金塊を探し始めて、集団に属するようになってしばしば「自分は役立たずだ」と思ったでしょうけども、それでも杉元に役目を与えられ、ちゃんと果たしたし。杉元に居場所をもらった形ですよね。それなら、居場所を得た白石が、今度は杉元を役立たずの呪いから引き上げる番じゃないですかね。
眉毛の戦い
ぐずぐずしてる間に鯉登少尉に見つかった房太郎は、長髪を駆使して鯉登少尉を攻撃。ちょっととんでもない技を持ち過ぎじゃないですかねボウタロサン。少尉もびっくりよ。
房太郎優勢でしたが、月島軍曹に銃を持った右手を撃ち抜かれて地下へ逃げます。
が、下はビールの海で逃げられない。左肩に斬りかかられた房太郎は一旦泳いで逃げますが、鯉登少尉がアシリパさんを回収して気を抜いているところへ再び現れる……。めちゃくちゃこわいんですが。
軍刀を残して消えた鯉登少尉。
これどっちかが死ぬやつでは?
変な眉毛同士ですけど、どっちか死ぬとかやめて……。最後のところのコメントの「最期まで」表記がめちゃくちゃこわいんですが。
最近毎週のように人が死んでて、「大団円」って本当でしょうな???と思ってしまいますね。
勇作さんの話
本誌と全然関係ない話をしますけど、秋からアニカム3期が始まって、毎週本誌とアニメで心休まる時がないです。
勇作さんに声がつくと一気に人物に深みが増すというか、「あ、この人尾形の妄想とかでなく本当にいた人なんだ」と思うというか。学生時代たくさん著書を読んで大変お世話になった見ず知らずのその道の第一人者の研究者がしゃべって動いてるのを生で見て「この人実在したんだ~、というか同じ地面に立って同じ空気を吸ってるんだ~」と思う感じ(わかりにくい)に似ています。ま、アイドルを生で見たみたいな感じですよ。
勇作さんってもう物語開始当初から死んでる人なので、読者は誰かの記憶の中の勇作さんしか見ることができないわけじゃないですか。ほとんどは尾形の目を通して、あるいは宇佐美の目を通して。そうなるとどうしても記憶の持ち主の主観が入ってしまうし、思い出したくないもの、見たくないものは見ない、がそのまま表れてしまっている。尾形の記憶の中の勇作さんの目なんて最たるものですよね。
どうしたって勇作さん視点の描写なんて望むべくもないし、もうニュートラルな勇作さんは見れないんですよ。死んじゃったから。勇作さんの考えはもう聞くことができない。そうしてしまったのは尾形なんですよね……。ワンチャン生きてるとかないかな……。
今回勇作さんに声がついて、もともと少なかった情報に肉付けされて、色づいた感じがして、ちょっと考え込んでしまいました。
漫画ではうっすらとしか見えなかった勇作さんの目、アニメでは血がにじんだ赤い目がわりとはっきり描かれて、尾形の目にそっくりでしたね。そこにもまた興奮してしまった。
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