ゴールデンカムイ、記念すべき第200話です。100話でも大変なことがありましたが、200話も読みながら声にならない悲鳴を上げました……。
だいたい予想してたことですが、細かい描写を見ると胸に迫るものがあります。
鯉登少尉過去編は今回で終わり、次回からまた動きがありそう。そこはもう予想ができません。
今回の冒頭はボヘミアンラプソディーネタ、というかQUEENネタでした。
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前回の感想はこちら↓
音之進が誘拐犯に反撃した理由
前回、音之進は白ハットさんのほうに頭突きを食らわせていました。おとなしく殺されるつもりは毛頭ないのだという意思表示かと思ったのですが、そうじゃなかった。
戦うて死んだとわかれば父上も少しはオイを見直すじゃろう
野田サトル「ゴールデンカムイ」200話/集英社
今まで気丈に振る舞っていた音之進が、涙を流して唇を震わせながらこう言ったのです。こんなときまで父上が期待する理想の息子でありたいと思っている。
どこまでもこの親子かみ合ってない。お互いに長男・兄という存在を失って、核心に触れないで接してきたんでしょうね。父上はできる子じゃなくても愛してると思うよ……。
音之進がこう言ったところで、パパはちゃんとやってきます。前回からずっと「音之進」しか言ってないですが、大丈夫か。これだけ見せられたらいかに息子大事かわかりますよ。
「ボンボンが」
「ボンボン」って何話か前のタイトルになってましたよね。尾形がロシア語で鯉登少尉に向かって放った言葉です。
それがなんと、今回白ハットさんから飛び出したのです。
白ハットさんですよ、黒じゃなくて!音之進の背中をさすっていた、あんぱんを食べさせたあの白ハットさん。
「ボンボンが」とぼそっとつぶやく大コマ、覆面の隙間からあの目が見えてるんです。特徴的な、尾形しかありえないでっかい目。めちゃくちゃ冷めた目。
前回まで、白=月島軍曹、黒=尾形 だと思っていたんですが、逆だった。
尾形、背中さすったのは「うんうん、君も親に見放されたんだね」って同調したのでしょうか。鯉登父が駆けつけたことを知るや否や、舌打ちしてます。
仕組まれた誘拐劇
もう最初から読者は予想していたことですが、この誘拐自体、鶴見中尉が仕組んだことでしょう。鯉登父は袖なし鶴見(もしくは月島軍曹)にノックアウトされて気絶。音之進はずっと柱に縛られていて動けず、ただドアの向こうから聞こえる銃声を聞き父の身を案じています。
銃声が鳴りやんでドアの向こうから現れたのは……
救世主・鶴見中尉~~!
これ以上ない演出です。激しくやり合った体で、ヨロけながらの登場。めちゃめちゃクイーンです。
音之進はそりゃあもう目を輝かせています。
「あなたは…」
「やっぱりまた会えたね」
野田サトル「ゴールデンカムイ」200話/集英社
ここはクイーンというよりプリンスとプリンセスかな?
こうして音之進少年は鶴見中尉にほだされたんですね。ここから彼は狂っていくのだ。計画通り……!
父子はわだかまりが解ける
気絶していた鯉登父が目を覚ますと、誘拐犯相手に戦ったことを誇らしいと言われ、また音之進は涙。
鶴見中尉は純粋にこの父子のわだかまりを解いてやりたかったんでしょうか。それよりも、今後の計画(もう金塊奪取を考えていたのかはわかりませんが)のために鯉登父、もとい海軍を利用したいという思惑があったんでしょう。
鶴見中尉が単純な親切心で行動するわけはない。
倒れた誘拐犯は替え玉
さて、床には白ハット黒ハットが転がっています。鶴見中尉が倒した(という体)。
鶴見中尉が白ハットの覆面をとると、外国人らしき男の顔が。ここではちゃんとロシア人が犯人だったと見せる必要があったんですね。しれっとやってしまう、役者だなあ。
音之進はもう、王子様・鶴見中尉に夢中です。誘拐犯に食べさせられたのは月寒あんぱんだと気づいていて、ここで「月寒あんぱんのひと」が助けに来てくれるなんて……
運命でごわすね
野田サトル「ゴールデンカムイ」/集英社
ほほを染めながら運命だと言ってるけど、仕組まれたことですよ。必然だよ。
こうして親子の関係もぐっと縮まり、万事解決!とばかりに、鶴見中尉が鯉登父のサスペンダーをペチン!「もすッ」ウフフアハハ……
この場面なに?(笑)
後片付けは尾形、月島、菊田
和やかな空気の背後では、死んだ誘拐犯を片付ける兵士たち。顔ぶれはもちろん、尾形と月島、そしてちょっと予想外だったのが菊田です。
菊田さんもロシア語しゃべるんでしょうかね?
ここで尾形の顔面はちょっと傷ついてる風で、頭突きされた白ハットさんが尾形だということがハッキリします。
映り込む鶴見中尉の顔は影が差している。金カム表現あるあるですが、だいた悪いことしてるやつの顔は影が差すんですよ。悪いことしてるというか、その場の人々と同じ感情ではない、どこかに思考をやってる顔ですね。
音之進は陸軍へ
こうして音之進少年はあこがれの鶴見中尉まっしぐら。海軍兵学校ではなく陸軍士官学校を受け、陸軍のほうへ進みました。
ここで鶴見中尉は、
ご令息は仲の悪い海軍と陸軍の橋渡しをしてくれる貴重な人物にいずれなるでしょう
野田サトル「ゴールデンカムイ」200話/集英社
と言っています。ほら、やっぱそれが狙いなんじゃないか。
音之進はこの時点でもう鶴見中尉の前ではちゃんとしゃべれなくなっています。
尾形は何を思ったのか
音之進が鶴見中尉にあいさつにきた時点で、おそらくはじめて尾形百之助という人物を認識しています。
階段ですれ違いざまに嫌な目を向ける尾形。音之進も好意的な目ではない。
そういえば尾形が実父を手にかけたのってあの誘拐劇の後ですよね。尾形はもしかして、鯉登父子のような和解を期待した?間近で親子の感動ドラマを見せられて、尾形は何を感じたのでしょう。そこで何か希望を見出したのだとしたら、切ないですね。
撃たずに逃げる尾形
さて、ここでようやく現在軸にもどります。階段で互いににらみ合う過去のふたりから、銃を突きつけ、突き付けられにらみ合う現在のふたりへ。
尾形はうっすら笑っていて、やっぱり何考えてるのかわからない。
窓から白石と谷垣の声が聞こえると、そろそろヤバいと思ったのか、鯉登少尉の横っ面を蹴っ飛ばしてトンズラしました。
余談ですが、やっぱりあの手術着的な服の下はノーフンでした。パッと見、杉元よりは大きい。真面目なシーンに集中が途切れるもの描き込まないでほしい(笑)それにしても、尾形チン影やっと出ましたね。本邦初公開。
歓喜の杉元
馬で逃げた尾形。外で探していた杉元は当然見つけるのですが、馬の脚には追い付きません。銃を取り出して狙いますが、杉元はいかんせん下手なので当たらない。むしろ当ててない?
後ろから撃たれる尾形、両手広げてハイになってます。頭おかしくなったのか……。ヤケクソか?
杉元ったら弾がひとつも当たらないのに悔しがるどころか、じっと逃げる尾形を見据えて笑みを浮かべています。こっちの目も相当ヤバい。
元気になって戻ってこい ぶっ殺してやるから
野田サトル「ゴールデンカムイ」200話/集英社
そういうことです。杉元はやる気満々だし、振り返って笑う尾形も感じ取ってるはずです。
次回から何が始まるんでしょう。ヒヤヒヤする。
それにしても、月島軍曹ももちろんあの誘拐現場にいたわけですよ。鯉登親子の関係をあの時から知っていて、今坊っちゃんの補佐しててどう思ってるんだろう。いや、めんどくさいボンボンだとは思ってるでしょうけど。
月島軍曹も父親とは分かり合えなかったほうの人ですからね。どっちかというと家族愛とはほど遠く、そういうところは尾形に近い。
ただ尾形ほどねじくれてはいないので、先遣隊で旅するなかで「父上を思い出した、うふふ」とか時々父のことを考える鯉登少尉を見て、微笑ましく思ってるんじゃないでしょうか。兄に対するコンプレックスはもう見えず、卑屈なところはなくなった。
鶴見中尉の思惑、それはそれとして、親子関係を修復してくれたのはよかった……。親との関係がよくない人物ばかりだから、鯉登親子は貴重ですよ。神々しい。
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