今さらながら24巻と合わせて23巻の感想をまとめます。
主に加筆箇所について。今回結構大事なのは、宇佐美時重の過去編が方言に修正されたところですね。
詳細な考察については本誌の時のリンクを下にまとめています。
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前巻の感想はこちら↓
アシリパさんの暗号の鍵確認作業
ゴールデンカムイ 23 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
222話、平太師匠からはぎ取った刺青人皮を確認するシーンが数コマ分追加されています。
アシリパさんは漢字に詳しくないので、杉元に確かめながら。「魯」は「ロ」と読むのか、など。平太師匠の暗号の文字は、「魯」「呼」「干」「赦」「刺」「毛」「塗」「岩」「佛」「痢」「置」「円」「均」が確認できます。
暗号のヒントとなる鍵を思い出したアシリパさんにとっては、それが当てはまるかどうかの確認作業。「ロ」「シ」また「置」は訓読みで「オ」なので当てはまります。音読み縛りがあるなら別ですが。
ところで、以前アシリパさんは漢字を学ぶ必要性を感じない、というようなことを言っていましたね。こうして杉元が教えてやれるので問題はないのでしょうが、やっぱり知っているに越したことはないように思います。ウイルク自身はおそらく日本語を表記含めマスターしたのでしょうが、なぜ娘のアシリパさんには教えなかったのか。「アチャは学校に行ってほしそうだった」みたいなことは言っていましたが……。
暗号を残して伝えることを決めたのは当然土方歳三と組んでからでしょうし、アシリパさんと土方さんが組んで初めてわかるような仕組みにしたんでしょうね。
方言への修正
宇佐美過去編については本誌の時に十分考えたので、方言のことだけちょっとまとめます。
これは本誌派の人にはネタバレになるのでリンクだけ載せておきますが、この過去編での方言はのちのち重要な記号になります。
智春くんを殺してしまった場所は聖地としてふたりだけの思い出の場所になっているわけですが、こと鶴見陣営においては、今回出てきた訛りも篤四郎さんと時重だけが共有する記号となります。これはやや訛りが違うであろう佐渡島出身の月島軍曹とも違う、時重だけが持つ共通点だと思います。
本誌掲載時はみんな標準語をしゃべっていましたけど、23巻時点で修正されたことで、先の256話のやりとりはうんと特別なものになります。
それにしても、宇佐美過去編は本誌を読んで知っていても改めて読み直すと恐ろしい。宇佐美だけは鶴見陣営たらし込み組の中でも特殊ですよね。尾形、月島、鯉登(過去)のように親子間の愛情が希薄というわけでもなさそうで、むしろ宇佐美家の様子を見る限りでは愛情があって生まれた子だと思う。成長過程で愛されなかったというわけでもない。
とにかく、何かのきっかけが元々あったわけでもなく、見つけた特別な人(篤四郎さん)によってあの宇佐美時重が爆誕したんでしょうね。篤四郎さんに会わなければ、あれほど狂気に満ちた人間にはならなかっただろうと思います。
インカラマッと谷垣の選択
ここは特に加筆の話ではありませんが、物語のテーマ上大事だと思ったので補足。
「役目」第一主義者の人間が多い中、谷垣とインカラマッはそこから一抜けした人たちになったのだと思います。
インカラマッは元々目的があって近づいてきましたが、今は谷垣との幸せを選んだ。今回の逃亡、出産の展開も、谷垣の無事を第一に考えるのであれば、自分がいる病院まで呼び寄せるべきではなかったけれど、あえて居場所を知らせて危険な逃避行に懸けたわけです。これはもう何かのためというより、彼女が「そうしたい」と思ったからとった行動です。もう「役目」からは逸脱している。
そして谷垣も、アシリパさんをフチのもとに連れ帰るという自分に課した「役目」が果たせなくなり、インカラマッと逃げる道を選びました。まあ、鶴見中尉にインカラマッを人質に取られた状況でアシリパさんを探して連れ帰っても、フチは喜びませんから、役目の放棄はアシリパさんとフチのためでもありますが。
このふたりが「役目」を放棄することになった理由のひとつには、生まれてくる子どもの存在があります。親によって人生を狂わされた人間がいる一方、子によって人生を変えられた人間もいる。谷垣たちは子を成し、家族を形成することで役目から一抜けしたわけです。
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