ゴールデンカムイ22巻【感想・考察※ネタバレあり】人を狂わせる砂金

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引用元:集英社(https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-891582-1)
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22巻、出たのもうたしか2か月ほど昔なのですが、読んで満足して忘れてました。

例によって、加筆部分などの気づきを中心にまとめていきます。

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前巻の感想はこちら↓

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月島・鯉登周辺の加筆修正


ゴールデンカムイ 22 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

今回は細かい加筆修正は多いものの、大きな追加はなかった印象です。

前半の杉元・アシリパさん・白石の逃亡劇では、直前まで仲間だった月島軍曹・鯉登少尉の心情が本誌より丁寧に描かれていたように思います。

鯉登少尉は怒れる杉元に銃を向けました(すぐ反撃されてぶっ刺されるけど)。そのあとも杉元の暴走はとまらず、鯉登少尉はなんとも言えない表情でまた杉元に銃を向けるのですが、このコマは鯉登少尉がわずかに震えている描写に変更されていますね。刺されてるわけですから、体が悲鳴を上げているともとれるかもしれませんが、暴走する杉元の姿を見て呆然していたようにもとれるし、また第七師団の仲間のモブがやられているのを黙って見ている感じからして、杉元をこのまま撃っていいものか、というためらいもあったのかと思います。

このとき杉元に刺された傷は結構な深手で、鯉登少尉はインカラマッと一緒に入院することになります。

そんな重傷の鯉登少尉を回収しに来たのが月島軍曹。この事件の直前には「あなたたちは救われたじゃないですか」がありましたね。鶴見中尉へのマイナス感情は誰よりも強いんですよ、鶴見陣営では(尾形は知らん。わからん)。単行本では、怪我を負った鯉登少尉を横目に見ながら声もかけずに素通りしていく鶴見中尉を見ながら「嘘でも心配したらどうですか」というモノローグが追加されています。

あなたが部下の心に寄り添うフリして懐柔してるのはわかってるんですよ、取り繕うこともしないんですね。という感情ですね。鶴見中尉は釣った魚に餌はやらないタイプか。

でも、鯉登少尉は救われてるからいいんですよ。このあと鯉登父がやってきて力をふるう回がありますが、平二が刺された息子を見舞いにやってきて、「情けんなか」という音之進に「生きちょりゃよか」と言うんです。ここは本誌と同じなのですが、「生きちょりゃよか」と言う前にキョロキョロ周囲を確認するパパがより慎重になってるんですよね。たしか本誌では「キョロ」くらいだったのが、「キョロキョロ」になっている。軍で上に立つ人間としては息子とはいえ怪我した人間が生きて帰ったことを手放しで喜ぶことはできないものです。ここは、周囲に人がいないのを確認して、慎重に慎重に、「生きててよかった」と気持ちを伝える場面。あの誘拐劇場以来、鯉登親子の関係がよくなったのは事実です。ここは悔しいが鶴見中尉グッジョブ。

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砂金に目がくらんだ人たち

後半の平太師匠のエピソードもかなり加筆修正されてはいるんですが、大きな変更はそれほどありません。

一点、気になった箇所をひとつだけ。

221話の、平太師匠の独白のシーン。平太師匠は、自分が汗水たらして掘った砂金をその日のうちに溶かしてしまう家族が嫌で嫌で、12歳のころに聞いたウェンカムイがやってきて欲深い家族にバチを与えてくれないか、という空想をしたと言っていました。このあと本当に平太以外の家族はヒグマに襲われて死んでしまうのです。

私は本誌リアルタイム時、この平太師匠の独白はあやしいね~と言ってましたね、今確認すると。

平太は、ある日ついに「僕の」ウェンカムイが家族を全員殺してしまった、と言っていますが、家族を殺したのは本当にヒグマだったのか、今となっては疑わしいですね。いつも思い描いていた空想が偶然現実になってしまったのかもしれないし、行き過ぎた空想に憑りつかれた平太自身がやってしまったのかもしれません。

https://shakarikiblog.com/2019/11/21/goldenkamuy-221-review/

本誌では、平太が望む空想のとおりウェンカムイがやってきて、家族を成敗してくれたかのように書かれていましたが、実は平太自身が仕組んだんじゃない???と思っていたわけです。

単行本。1ページほど加筆されていて、事の真相が語られました。

やっぱり平太師匠は自分の手で家族を死に追いやっていました。あるときヒグマの食い残しを見つけて、それを家族が寝起きする場所に隠したのです。すると、ヒグマはそれを取り戻しにやってきて、ついでに平太師匠の家族を殺しました。ヒグマは平太師匠を食い殺す前にアイヌの漁師に殺されたそうです。

やっぱりどうしても三毛別羆事件を思い出しますが、ヒグマは一度手に入れた獲物に並々ならぬ執着を持っているんですね。あの事件でも、弔いをするため掘り起こして持ち帰った遺体をヒグマが追ってきて、二次被害、三次被害を引き起こしました。平太はヒグマの習性、性格をよく知っていたわけです。

単行本でこのように加筆されたことで、平太師匠が自分の空想の中のウェンカムイにとらわれてしまったこと、多重人格になってしまったことの原因は自分自身が犯した罪にあることがはっきりしました。

平太師匠は、

「そして欲深い私も最後に罰せられ…」

野田サトル『ゴールデンカムイ』22巻/集英社より

と語っています。家族を殺して撃たれたウェンカムイは、自分を罰しにやってくる。このコマも加筆ですが、ここで興味深いのは平太が自分自身を「欲深い」と表現していることです。ここまで見た感じ、平太師匠自身が強欲だという印象はありませんでしたが、自分が努力して得たお金を、何の苦労もしていない家族が湯水のように使うことに負の感情を抱いて死に追いやったこと、それは結局自分の欲深さからくる行動だったと自任していたのでしょうか。砂金を独り占めしたいという思いはなかったにせよ、手柄を奪われていくことは我慢ならなかった。それは結局欲深いということなのか。

砂金に目がくらんだのは平太師匠の家族ですが、平太師匠はその家族のために人生を狂わされたわけで、結果としてはやっぱり砂金がすべてを狂わせたということになるのでしょう。

23巻以降は、いよいよ金塊争奪戦も終わりに近づきます。その戦いの鍵を握るアシリパさんは金塊をどのように使うのか。平太師匠の最期は「こうなってはダメだ」「間違えばこういう未来もある」といういいお手本になったと思います。

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